第349話 最高秘密会議
側室や城在住家臣達が年末恒例の餅つきをする中、俺は茨城城天守最上階に茶々、力丸、そして国友茂光を呼んだ。
国友茂光には先に有る物を秘密裏に作らせそれを持ってきている。
「殿様、設置完了しました。始めます」
国友茂光はその用意してきた物を火鉢の上で温め始める。
頼んだ物、温めている物、それは『ヘロンの蒸気機関』だ。
蒸気機関の一番最初の物、今のうちの技術なら簡単に作れるはずだと思い昔、教科書で見たのを思い出しながら設計図を書き国友茂光に渡しといた物で完成した。
中の水が沸騰すると、上部の球体は回りだす。
「おっ、お~」
と、力丸は驚き
「何で回るんですか?」
と、茶々は不思議がっていた。
「これは蒸気機関と言う、蒸気の力で動く物だ。ただ、これは実用的ではない。実用的なピストン運動型蒸気機関の設計図は俺も詳しくは覚えていないが、原理がわかるので国友茂光に伝えてある」
「で、それを作りたいのですね?」
と、茶々。
「あぁ~、俺が異国に行っている間にも開発を続けてほしい。そのために、茶々、力丸には予算の調整と、秘密裏に作れるよう手配を頼む」
「秘密裏に?」
力丸が少しだけ怪訝な顔をした。
力丸は俺の与力、幕府からの目付役であり、直臣ではない。
「あっ、信長様は御承知だから安心してくれ、この技術の応用で船を走らせる力があることは伝えている。信長様が生きてるうちに見たいとは言っていたが開発を進める必要が出てきた」
「え?これで船を進めるって?」
「極端な表現だが、蒸気機関で水車を回す、その水車を船に付けると風がなくても船は進む」
そう言うと目の前で回っている『ヘロンの蒸気機関』を三人はじっと見ていた。
「これは日本が世界の覇者になるためにものすごく大事な技術だ」
「わかりました、すぐに秘密裏に開発出来るよう私の城、佐倉城内に工房を造りましょう」
「頼んだぞ、力丸、茂光、目標は三年で小船を動かしたい」
蒸気機関を搭載した鉄甲船を作ればまさしく世界を制する事が出来る。
だから、こそ開発を急がせたい。
俺は信長とオーストラリア大陸での夕日を一緒に眺めた時、信長を世界の覇者にすると決めたのだから。
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