第348話 伊達政宗

 出産ラッシュが収まったばかりの12月27日、伊達政宗は来城すると、


「おめでとうございます。これは祝いの品どうかお受け取りを」


と巾着袋6袋の砂金。


「ありがとうございます。気を使わなくて大丈夫なんだけどな。二人の仲で水臭いでしょ」


「いやいや、受け取って貰わなければ」


「一度出した物を引っ込める事が出来ない伊達男、わかりました。次のオーストラリア大陸渡航の為に使わせていただきます」


「本日はその事で御相談したきことが」


「ん?何ですか?」


「妻・愛(めご)も同行よろしいでしょうか?側室には子が産まれましたが愛にはまだで、異国の地に長居するなら連れて行きたいと思います」


伊達政宗の長男は兵五郎は側室の子・史実歴史では宇和島藩初代藩主伊達秀宗なる男だ。


「なるほど、今回は兵達も移住を考えられる夫婦が良いので当主自らがお手本になるので良いかと思います。船は一隻分200名をお考え下さい。南蛮型鉄甲船一隻をお譲りするつもりなので」


「え?よろしいので?」


「俺のおさがりですけどね。俺のは今建造中に新型戦艦が三隻、信長様からもらい受けることになってますから」


大阪城港では急ピッチで造船がされている。


巨大戦艦KING・of・ZIPANG・Ⅱ号と同型戦艦が現在六隻建造中、その三隻が俺に貰える事になっている。


北へ南へ行く俺には必要だろうと言う織田信長。


常陸国でも自前で南蛮型鉄甲船を作る事を考え、造船所を幕府許可のもと整備に着手したがまだしばらくはかかりそうだ。


「大きな大きなオーストラリア大陸を日本として発展させるためには移住者が必要ですから、人選に気をつけて下さい」


「はっ、心得ました」


「それと、兵五郎殿にうちの娘を輿入れする約束をしたいと思いますがどうですか?兵五郎殿も一歳、うちの娘もまだ小さいので具体的にどの姫とは言えませんが、それなりに大きくなった後に見合いをして気が合った姫との婚姻いかがですか?」


「よろしいので御座いますか?当家としては願ったりかなったり、有り難き事に御座います」


「出来れば、これから産まれる愛さんのお子の長女と次男との婚姻もうちの子供共でどうですか?」


「え!?」


「あっ、やってしまった・・・・・・陰陽道の占いの結果です」


陰陽道で誤魔化そう。


「愛に子供産まれますか?そうですか、そうですか、常陸右府様からそう言って教えて貰えるとは励みになります」


伊達政宗の妻・愛は幼少から政宗とは同居しているがなかなか子が出来ないが、ちゃんと子供は産まれ嫡男として仙台藩二代目藩主を継いでいる。


子供の作り方間違っているのでは?違う穴にでも入れてない?


などと、思ってしまうが側室には子供が産まれるのだから間違いはしていないはず。


「出航までおよそ半年、滞りなく支度をしてください」


この夜、いつものように政宗とは鮟鱇鍋を囲みながら酒を酌み交わし、翌日には帰って行った。


俺は帰り際、遅れたが兵五郎誕生祝として、領内で生産している水戸刀一振を政宗に贈った。

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