第343話 豪州統制与力

「で、誰を与力に命じるのだ?」


帰国の為の船の中約1か月、島々を寄りながら北上する。


織田信長の巨大戦艦KING・of・ZIPANG・Ⅱ号に乗船している。


父島も過ぎ大阪港まではもう少しの船内そこで、与力にしたい者の名を聞かれた。


「羽柴秀吉、前田利家、蒲生氏郷、伊達政宗です」


「なに、四人もか?」


「少ないくらいですよ、羽柴秀吉には大勢の力余った家臣がいるはずです。それをオーストラリア大陸に送って働き手にします。前田利家は計算好きですからね経理に使い、伊達政宗は直属に使い支配下の整備に使いたいと思います。蒲生氏郷も統治能力が高いのは俺の与力だった時代に知っています。前田利家は息子利長に家督を譲り加賀を任せるならば返事は問題ないと思うし、伊達政宗は海外に興味があるので俺との同行には問題ないはずですが、秀吉が問題なんですよ、実子いないし、九州から羽柴家そのものを移らせたい」


「なるほどな、だから儂が命じるのだな?」


「はい、よろしくお願いします。それとスペインと言うかローマに使者を出したいと思います」


「ローマ?」


「スペインとかの親玉的な存在のローマ法王に使者です」


「なぜだ?」


「オーストラリア大陸を日本国にしたことを伝えるのと、グアム島・サイパン島での補給寄港地の正式な許可を貰うためです」


「なるほどな、そこまで考えているなら使者を誰にするかも考えているのだな?」


「はい、その者は高山右近」


俺の元与力、今は蟄居謹慎中の高山右近だ。


「あやつか、生かしておけと申したから首をはねなかったがなるほど、そこまで考えていたか?」


「はい、俺の知っている時代線でも、豊臣秀吉、伊達政宗、徳川家康が使者を送っていますからね。だから、使者として高山右近は適任者だと思っていたのですよ。そして、場合によっては宣戦布告の使者になりますから、ローマで死んでも良いかと、いや、むしろ宣戦布告の使者になると思いますよ。高山右近が連れてくるかも」


「高山右近が連れてくると予想しながら向かわせるのだから南蛮と一戦交えたいのだな?」


「はい、考えなくてはならないかと、今間違いなく世界最強で有るうちに叩きたいとも思うんですよ」


「壮大な事を考えていて、常陸を雇った事は本当に良かったわ、儂なら唐天竺を目指すくらいしか思い付かなかったがな」


そう言って信長は近付く大阪城を眺めていた。


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