第335話 私は、お初

青い青い海、下には珊瑚礁がいっぱい、白く光る砂浜、日本とは違う砂浜。


「え?なに?何か泳いでる?え?なに?」


と、海を見ながら言うと、真琴様は、


「あれはマンタだな、おっ、あれはジンベエサメじゃないか?」


そう言って指さしている。


海の中をまるで翼をばたつかせるように泳ぐ不思議な生き物と大きく口を開く巨大な魚、初めて見る光景に何もかもが美しく見える。


来て良かった。


姉上様やお江には悪いけどやっぱり、真琴様と一緒に行動すると何もかもが新鮮。


「ほら、あれが俺が目的とする大陸だ。オーストラリアて言うって言うか、俺の時代ではそう言って呼ばれていただけだから俺が名付けてしまえばそれが名前になるのか?」


と、真琴様は言う。


私は唯一、一緒に旅をする中で真琴様が未来から来た人であることを知っている、聞かされている。


「なら、ヒタチ大陸にしてしまいますか?」


「ハハハハハハッ、悪くはないが「ひたち」がいっぱいになるから止めておこう、オーストラリア大陸で良い」


そうやって笑っている笑顔、実は好き。


でも、正直に言えないのが悲しい性かな。


「ほら、お初、上陸するから甲冑を着てくれ」


「あっ、はい、わかったわよ。私も付いていくんだからね」


初めての土地、どんな事が待ち受けているの?


え?なに?お腹に袋?え?なに?木にしがみついている可愛い生き物、え?なに?ピョンピョン跳ねてる生き物?え?なに?お腹から、なんか顔出してるよ。


「あっ、カンガルーだ、あれ、さっぱりした肉で美味いんだよな」


・・・・・・、真琴様にはみんな食料として目に写るのかしら?


あれ、食べるの?木にしがみついている、生き物も?そっちは食べては駄目?


真琴様の未来の知識、伯父上様が欲しがって重用するのもわかるわ。


楽しみでしかないもの。

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