第334話 織田信長とパプアニューギニア島
島を離れて7日、大砲の音が聞こえそちらのほうに船を進めると明らかに織田信長の艦隊、そして巨大戦艦KING・of・ZIPANG・Ⅱ号が島から少し離れた所に停泊していた。
その先に見える島、鬱蒼とした密林が海岸線まで迫っている島。
パプアニューギニア島に接岸している船もあれば沖から艦砲射撃をしている戦艦、島の密林からは煙、火縄銃の音も聞こえる。
KING・of・ZIPANG・Ⅱ号近くに接近し小船に乗り移りその船を目指す。
もちろん、俺であるのがわかるように旗を大きくしっかりと見せ近づく。
「黒坂常陸守真琴、上様にお目通りしたい」
「あっ、常陸様、来たんですか?」
と、森蘭丸だった。
俺はその船に縄梯子を使って登り乗船すると、
「どうしたんですか?」
「いや、信長様の情勢が掴めず探してはくれぬかと信忠様に頼まれて」
「なるほど、常陸様が占領を目指していた大陸攻略に専念致してたので」
「その事ですぐに信長様に会いたい」
「はい、こちらです」
もちろん案内されるのはKING・of・ZIPANG・Ⅱ号の船尾にある小天守のような艦橋、
「入ります」
「おお来たのか?見よ、攻めこんでおる。儂の物になるのも時間の問題じゃ」
自慢気に見ているが、
「あの、ここ違いますよ。ここはオーストラリア大陸の一歩手前、ここで無駄に兵力を消耗するよりすぐに撤退してください、密林は泥沼の戦になりかねません。このような所で時間を取られていると、信長様の目的地が察っさられ、オーストラリア大陸占領が先にされてしまいます」
「なっ、もう兵は奥地まで入っておる、このままこの島を占領する」
「あまりお勧めしませんよ。それと、念の為信長様ご自身は島に上陸は避けてください。マラリヤとか伝染病感染を避けたい、出来ればこの船の兵も島に上陸していない者にしてください」
「流行病があるのか?」
「ごめんなさい、医学知識は乏しいので詳しくは説明は出来ませんが、俺のいた時代の70年前にはやはり日本はここを攻めてます。その時、病気に悩まされたと聞いているので」
「わかった。常陸の言うようにいたそう、しかし、ここは常陸が欲しがる大陸ではなかったのか」
と、少し拍子抜けした顔で世界地図を見ている。
「一応、ちゃんと書いてあるんですがね、パプアニューギニア島」
と、その世界地図を指差す。
すぐ下が目的地オーストラリア大陸だ。
「なら、常陸ここまで来たなら自らが行け、武器弾薬、食料はぬかりないのだろ?」
「はい、もしもの時に備えてはおりますが」
「よし、常陸、貴様が目指す、欲しがる大陸をその手で掴み取ってこい、蘭丸、船を五隻、常陸と共に向かわせよ」
「はっ、すぐに手配致します」
「わかりました。世界情勢が一気に変わりましたから急がねばなりませんので、オーストラリア大陸は俺が占領してきます。この島は、東と西の半島だけの占領だけで良いですから無理に深入りはやめてください、では、俺はオーストラリアへ」
俺は信長との再開を喜んでいる暇はない。
日本が、織田信長がオーストラリアを目指しているとわかれば大航海のこの時代に先を越されかねない。
オーストラリアに船を進める。
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