第332話 グアム島
南下は順調に進む。
ミクロネシア諸島、サイパン島、グアム島はすでにスペインが領有権を宣言している島だが、現状スペイン・イエズス会とは交易をする関係維持をしているため入港拒否はなく、水・食料の補給には事欠かなかった。
グアム島では原住民の踊りで歓迎されるが、直接的に原住民チャモロ人とは接する機会は貰えず、ただただ、褐色に日焼けした美女に鼻の下を伸ばして見ていると、お初に蹴られた。
こんがりと日焼けし綺麗な肌の踊り子たち、椰子の実を半分にして作られた乳当てに腰ミノ、情熱的な踊りに感動する。
チャモロ人は何か言いたげな様子を見せていたが、今回は先を急ぐ旅、深入りを避けた。
おそらく宗教問題があるのだろうが、今は目をつぶりたい。
なによりも織田信長は事を優先したいのだ。
「真琴様」
と、お初は何かを察するようだがそれ以上は言わない。
ただ、宗教問題で戦争が発生し、原住民チャモロ人を大量虐殺するようなら話しは別だが、現状スペイン・イエズス会はそれよりも俺達、日本国の動向を気にしている様子。
「クロサカサマ ウワサは カネガネ ぜひともいちど ひたちへ いこうとおもってた」
と、一人の宣教師が片言で夕飯の時に話しをかけてきた。
「日本に来た際は是非ともお立ち寄り下さい」
「ワタシは ルイス・フロイスと ともだちね いつかの礼きっとするね」
そう言って不敵な笑いを見せていた。
ルイス・フロイス、俺により日本国から追放された男の名前。
しかし、その後釜はちゃんと日本国に来ていまだ布教活動をしている。
と、なると個人的な恨みだな。
つまらぬ争いの芽は絶つ。
宗矩に目で合図をする。
その宣教師は翌朝の朝、グアム島の綺麗なビーチを血で染めていた。
俺は国を守るためなら修羅にでもなると決めたのだ。
織田信長が大六天魔王と名乗ったように。
俺は素知らぬ顔をしてグアム島を後にした。
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