第322話 石田三成とトドの金玉薫製漢方薬
茨城城に戻ると、羽柴秀吉からの使者が来ていた。
大広間で対面する。
茶々とお初が同席する。
「九州探題、羽柴秀吉が家臣、石田三成と申します。突然の来城平に御容赦願います」
羽柴秀吉、俺が本能寺の変を防いだことにより関白に、いや、天下人になれなかった男、だが、織田家内では活躍凄まじく今では幕府五大老の一人重役だ。
その使者は関ヶ原の合戦の主人公の石田三成。
「いや、遠路わざわざ来たからには大事な話しがあるのでしょうね?」
俺は羽柴秀吉と言う男を警戒している。
本能寺の変、実は明智光秀と結託していたのではないかと疑ってもいる。
そんな男の使者、もしや謀叛の誘いなのではと考え襖の向こうにはその発言があったら取り押さえさせるために、裏柳生の手練れを忍ばせている。
「お願いの義ありまして本日は来た次第であります」
「遠慮なく申されよ」
「はっ、お恥ずかしい話し、羽柴秀吉はお子を何よりも望んでおります。どうか、多くの御側室を抱えお子を次々に作っておられる常陸右府様にその秘訣をお教え頂きたく」
羽柴秀吉、噂されるのは実は無精子症だったのではないか?と、言われている男。
ねねと言う妻の他、多くの側室を持つなか、唯一子供が出来たのは茶々だけであった。
その事から実は鶴松と秀頼は実子ではなく茶々の浮気だったのではないかと推測出来るのだが、俺の妻になった茶々はそのような浮気をするような女ではない。
「子供ねぇ、申し訳ないのだが秀吉殿は体質的にお子が出来にくいのではないかと推測するのだが」
「そこを常陸右府様の陰陽道の力でお助け願えないでしょうか?」
「それは、無理です。陰陽道は万能ではないのですから、ただ、医食同源の知識から言いますと亜鉛と言う成分が多い食べ物、例えば牡蠣などは子種を作るには良い働きをしますがそればかり食べていても良いわけではありません。偏らずいろいろな食材を食べて体力を付けることが良いかと、そのくらいの助言しか出来ません」
「いや、それが聞けただけでも有り難き事にございます」
と、石田三成は頭を下げる。
「真琴様、あれを少しわけてあげたらどうですか?」
と、お初が言う。
「あれ?」
「ほら、小糸と小滝が必死になって作っていた、あれ」
「あ~トドの金玉薫製か?いや、あれ分ける所か全部譲りたいのだけど、不味くて」
樺太で小糸と小滝が俺の子を産みたいがために作っていた俺に飲ます為のトドの金玉薫製は毎日煎じ薬されたり料理に入れられたりしていて不味い。
「全部譲ったら小糸と小滝が悲しみますから半分持たせてあげたらどうですか?」
と、茶々が言う。
「せっかくだから、茶々あれで茶を入れてあげなさい」
そう言うと、茶々は手早くトドの金玉薫製の粉で美少女萌茶碗で茶を点てた。
「さぁ、三成殿、旅の疲れ吹き飛びますぞ」
と、俺が勧めると
「いただきます。ゲホゲホッゲホゲホッ、うわ、・・・・・・結構なお味で」
と、明らかに無理をしているのがわかる。
「それ、北の海に住む生物、トドの金玉でトドってもの凄い数の雌を囲う生き物だから精力剤になると思うから、それを秀吉殿に半分分けてあげる。持って行きなさい」
「そのような貴重な物、ありがたき幸せにございます」
うん、これからそれを飲み続けるであろう秀吉が若干可哀想ではあるが、フラシーボ効果があるかもしれないので効くか効かないかは言わないでおこう。
石田三成は大量のトドの金玉薫製漢方薬を持ち九州へと帰って行った。
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