第319話 帰城
1591年11月初頭
俺は茨城城に帰城。
鹿島港に入港したあと鹿島神宮に参拝し、茨城城に入る。
道中の田畑は稲刈りを終え、刈った稲穂を干す作業をする農民たちが帰国の歓迎をしてくれている。
それに大きく手を振り答えながら城に入ると大手門は開かれ茶々達が整列し迎えてくれた。
「御無事のお帰りお疲れ様でした。あら、珍しい今回は側室増えなかったのですね?」
と、にこやかに迎えてくれた茶々が夜叉のような顔に変わったのはすぐだった。
「姉上様、前回の樺太の渡航ですでに種蒔きしておりました。村長の娘であの犬達を送ってくれた者が男利王(オリオン)を生みましてございます」
と、お初が言う。
「見当たりませんが隠しているのですか?」
「いや、むこうに住み続けたいと言うのでな屋敷を作り、村人の娘達とねんごろですなった家臣を置いてきた」
「お初に刺されなかったと言うことは、お初は認めたわけなら仕方ないでしょう。ですが、いい加減にしてくださいよ!真琴様の側室達はまだまだ出産が出来る年齢なんですから、皆が出産出来なくなる年齢に達しても尚、側室が欲しい、子が欲しいと言うのなら許せますが、いい加減にしないともぎりますよ」
「ひ~やめて~」
俺は大事な所を抑えて城に駆け込むと、桃子が赤子を抱いて迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。9月10日に生まれました男の子にございます」
「おぉお、無事に生まれて良かった。ありがとう桃子。名前だな?男利王(オリオン)と次男を名付けたからな、よし北斗(ほくと)にしようではないか、北の夜空に輝く北斗七星は神聖な星座、陰陽使いの俺にとっては特別な星座なのだからな」
と、言うと、やはり今回も後ろに走って追いかけてきたお初が、
「やっぱり、まともな名前つけるわよね」
と、御約束の如く行っていた。
本丸御殿の方に向かうと途中、武丸が太郎に乗って散歩をしていた。
犬の成長は早い。
大きな大きな立派な犬になっている。
そこに武丸。
よき友人になれたようだ。
武丸は、
「お帰りなさい」
と、言って太郎を止めようとしていたが太郎はそのまま歩き続けてしまった。
言うことはなかなか聞かないのか?
そんな武丸は城をしばらく連れ回されたそうな。
彩華と仁保は俺の姿を見ると走ってきて
「「お帰りなさいませ」」
と、足に抱きついてきたので抱き上げ、
「ただいま、元気そうでなによりだ」
と、再開を喜んだ。
このあと、那岐と那美にはギャン泣きをされてしまったのは仕方がないことだろう。
家族みな元気。
良かった良かった。
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