第317話 第二弾樺太開発その6
農政改革だけではなく保存食作りを開始する。
豊富に捕れる鮭、鱈、にしん・トド・アシカ・アザラシ・ラッコ・海鳥などを燻製にする。
北の海は生物の宝庫だ。
塩漬けも作りたいが塩の大量消費は塩づくりをしていないので避けなければならない。
燻製にして、囲炉裏の有る部屋の天井に吊しておけば保存食になる。
やたら硬く人を撲殺出来そうになるくらい硬くなるが、水にしばらく漬けておけば軟らかくなり食べられる。
初期の水分落としをまとめてする小屋で燻製をしていると、
「この部位は燻製にして持ち帰りましょう」
と、小糸
「なんでも、滋養強壮精力の漢方になるとか」
と、小滝姉妹の嫌な予感しかしない会話が聞こえてきたが耳を塞いだ。
そう言えば、アラスカとかだとアザラシに海鳥を積めて地中に埋めて、腐らせて海鳥の内臓が液状化した物を食べるキビヤックなる物が有るらしいが、うん、それは作るのは止めておこう。
異臭珍味が出来るのは間違いないだろう。
それ食べる勇気は持ち合わせてはいない。
捌いた鮭、にしんには大量の腹子があったためニシンの卵は塩漬けにし、鮭の卵はいくらにする。
鮭の卵は脆そうではあるが、意外に堅い。
編み目の荒いザルで卵をほぐし、サッと湯通しする。
お祖父様は安いテニスだかバトミントンのラケットで卵を解していたな~と思い出す。
湯通しすれば白くなってしまう卵、あらかじめ用意しといた塩を酒で溶いた漬けダレに投入すると、あら不思議。
また、紅色の綺麗な卵に復活する。
それを一晩放置すれば、黒坂家伝来のいくらの塩漬けが出来上がる。
これは保存食ではないので、いくら丼にして皆で食べた。
飽きるほど。
秋鮭に舌鼓を打っていると外は紅葉の真っ赤な季節に移り変わろうとしていた。
なんとか、今回、蕎麦、稗、粟、ジャガイモ、とうもろこし、トマトは実り収穫も無事に出来た。
北条氏規が約束通り、鹿島神宮から分社して祀っていた樺太鹿島神社に奉納し収穫祭の秋祭りを行い、その日は黒坂家、北条家、アイヌ民関係なしに皆で同じ物を食べ酒を飲み、踊った。
今年の冬の食料確保も目途がたち、帰る準備を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます