第305話 常陸萌陶器
現在耐熱煉瓦政策の為に多くの陶芸師が集められている笠間城城下町。
もちろん陶芸師なので耐熱煉瓦だけでなく陶芸も盛んになっていたので陶器で盛んな町として発展し始めていた。
そんな中、狩野永徳が陶器を献上すると城に登城してきた。
俺ははっきり言って陶器とかには興味が薄い。
あの曜変天目茶碗のありがたみもわからないくらいなのだから。
しかし、直臣・狩野永徳は陶器への絵付けを始めたとのことなので観ないわけにもいかないだろう。
その陶器は広間に並べられていると言う。
茶々とお江と鶴美も非番なので見ると言う。
襖を開けるとそこに広がる陶器は異色の物だった。
「美、美、美少女が描かれているだとーーーーーーーー!」
並べられた大皿から小皿、おちょこの陶器およそ80点にはすべてに萌え萌えな美少女が描かれていた。
その中でもひときわ目立つのは大皿。
そこには茨城城の大手門・鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門が詳細に描かれている。
風神雷神化した、レム・ラムだ。
「これは良いぞ、これは大広間の床の間に飾ろう」
と、目をぎらつかせ見ていると、
「やめてください」
と、茶々。
「えっ、姉上様、可愛くて良い皿ではないですか?」
お江は萌の理解者だ。
「もう、これほどの出来で感動するくらいなら一層の事、帝に御献上なされたらいかがですか?」
と、茶々は言う。
「おっ、それ良いな。すぐに手配してくれ」
と俺が言うと茶々は大きくため息をしていた。
鶴美は驚き言葉が出せずに固まっていた。しばらく見つめ続け、
「こんな焼き物、間違ってるーーーーーーー」
と言って退室してしまった。
仕方がないだろうカルチャーショックというやつなのだろう。
「しかし、永徳、よく俺がこういうのを欲しているとわかったな?」
と、聞くと、
「上様が、御大将が留守の間、耐熱煉瓦を視察にこられ陶芸作家にこのような物を作れば喜ぶぞ」
と、教えていただいたので作ってみた次第にございます。
「うん、これは良い。常陸萌陶器と名付ける。これを作り世界に輸出しようではないか」
「御意。つきましては絵師として学校のほうから生徒を雇わせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「勿論だとも。絵師としての道を希望する者を募って笠間に送る」
茶々に人選を任せると33名がその道に進みたいと学校を卒業していった。
「うん、この天女が美少女化しているこれが書かれている茶碗は信長様に献上する。この狸の美少女化した皿は家康殿に送ってあげよう。あっ、この鳥が美少女化しているのは小皿のセットは前田利家殿にと、ん~この龍が美少女化した大皿は伊達政宗殿、鮭が美少女化しているのは最上義光殿に送る。手配してくれ」
と、指示をするとなぜか顔を真っ青にしてメモしている茶々がいた。
具合悪いのかなの聞くとそうではないと言う事。
んーなんでだろ。
お江は、
「私、これ貰っていい?」
と、言う茶碗には熊が美少女化しているのを持っている。
「おお、好きなの選ぶと言い。どれでもあげるぞ」
「大丈夫。これだけでいい。冬のマコみたいで可愛いから。永徳、これ美男子も書けないかな?」
「元論出来ますが」
「じゃあ、マコに似ているの描いてよ」
「御意」
お江は良いセンスを持っているな。
この後、常陸萌陶器は世界で旋風を起こすことになるとは俺はまだ知らない。
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