第301話 1590年・年の瀬

 俺は城に戻ってきて執務作業に戻る日々。


左甚五郎は笠間城に戻り、笠間稲荷神社に建設中で自分の配下に任せてある山門が気がかりだとして笠間に戻っていき、真田幸村は樺太の寒さ対策を考えるとして自分の城、高野城に戻っていった。


柳生宗矩は鹿島城で新しく配下に加わった南蛮型鉄甲船三隻の乗組員達と連携がとれるようにするためと言い、鹿島城に行った。


そんな茨城城はいつもの生活に戻る。


武丸、彩華、仁保は小さいながらも一生懸命、樺太犬の太郎と次郎の世話をし、那岐と那美は太郎と次郎に仲間だと思われているのか顔をペロペロされると泣いている。


やはり、子供と犬と言う接触は良い。


犬は人間が古来から相棒として飼って生活してきているが、それはDNAに染みついているのではないかと思わせる雰囲気を感じる。


台所では桜子達が陣頭指揮を執り、正月のおせち料理として大量に料理をしている。


俺は帝に食肉解禁をしていただくため、釈迦如来の誕生日、盆と春秋の彼岸の食肉禁止を約束しそれを幕府が法度として公布した。


だから、正月は対象外でいつも通り食肉はできるのだが、食肉の解禁を奨励した者としては、敢えてそれより厳しく自粛する日をもうけなくてはならない。


そこで、黒坂家では元日は生き物を食べない精進料理とし、三が日は殺生を禁止した。


そのため三が日分の生物料理が準備されている。


なにげに俺は日本国ナンバー4の地位にいる。


そして、東国としては一番偉い。


そんな俺の城には正月ともなれば多くの挨拶に来る者もいる。


そんな者達を料理自慢の黒坂の名に恥じぬようもてなそうというのが桜子達だ。


ありがたい。


俺は今年も安土に登城せねば、と考えていたが信長が信忠に俺は「樺太で寒くなるまで仕事をしてくるはずだから休ませてやれ」と、進言してくれたらしく上京しなくてよいとの事を安土と行き来している力丸が教えてくれた。


今年は茨城城で新年が迎えられる。


なにげに織田信長は優しい。


そんな信長は艦隊再編成が整い、冬になると琉球方面に旅立ったらしい。


織田信長、実は俺と同じく寒がりではないのか?


南蛮伝来のマントを愛用しているあたりそんな気がする。


できるなら、俺も北ではなく南に行きたかったな。


そんなことを考えていると中にはでは餅つきが始まっていた。


今年ももう終わりだ。

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