第296話 北の大地農業

 11月に月を跨いだ。


北の大地はもう冬だ。


寒い。


農政改革を任せてある幸村の所に向かうと、小屋でうなだれていた。


「あっ、御大将、お出迎えもせずに申し訳ありません」


「良い良い、それよりどうした?うなだれて」


囲炉裏の横に座り薪で火をつつきながら言うと、


「はい、流石に今年は収穫駄目でした。蕎麦も全滅です」


「思いのほか霜降りるの早かったからな。今年はもう常陸国に帰ろうと思う」


「寒いのですね」


「ああ、寒い」


と、言うと力抜けていた幸村は笑っていた。


「ははは、寒がり御大将、ははは。来年、来ますよね?」


「ああ、その予定だ。これからの季節は雪に覆われて何もできなくなるからな。幸い、今年は運んできた穀物のため冬は北条の者も困らないと言うし帰ろう」


「はい、わたし、来年も必ずお供して収穫して見せます」


真田幸村、史実歴史線上は大坂の陣で徳川家康を苦しめたくらいにしか活躍しなかったがうちでは農政改革に燃える男になっていた。


「一旦帰って寒さ対策などを考えようではないか」


「わかりました。常陸の田畑も気になりますので」


一年目の収穫は0。


何も採れなかったががこれ以上いても食い扶持が増えるだけ。


帰り支度を始めた。


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