第277話 トマト
生のトマトは一部を除いて不評だった。
赤い見た目に中身の青緑色のドロドロ、それが不評だ。
そこで、加熱と言うか料理にする。
外の厚い皮を湯煎して剥がし、不評の中身の青緑色を取り除き、炒める。
そして玉子とじにして軽く塩胡椒にしてみる。
オムレツ風だ。
すると、お江が
「あっ、これなら美味しい」
と、喜んでいる。
茶々達も箸が進む。
「不思議な実ですね」
と、言いながら食べる。
「トマトはね、煮込んで煮込んで煮込んで潰して塩や砂糖、胡椒や他の野菜から出た出汁を加えて味付けするとケチャップって言う万能調味料にも出来るんだよ。それを揚げ物に漬けて食べたり、麺と絡める事で美味しいのが作れるんだよ」
と、言うと夕飯を食べ終えた後、桃子がひたすら煮込んで試しに作り始めていた。
数日後、俺が知っているケチャップとは違う和風出汁風味のトマトソースが完成した。
なんでも、魚貝出汁を加えたらしく日本人に受け入れられやすい優しい味付けなトマトケチャップになった。
「うん、俺が知っているケチャップとは違うがこれはこれでイケる。そだな、フライドポテトに付けて食べてみるのが良いかな」
「わかりました。芋、揚げますね」
と、桃子はじゃが芋を細切りにして揚げる。
揚げている油の匂いを嗅ぎ付けて来るお江が、真っ赤な和風トマトケチャップを見てしかめっ面をした。
「うっ、これなんの血を煮込んだの?」
「違うから、こないだのトマトを煮込んだ物だよ、トマトケチャップって言うんだ。これをフライドポテトに付けて食べると美味いんだぞ」
と、言っていると桃子がフライドポテトを運んできた。
「お江様、出来ましたよ」
と、桃子、お江を珍しく躊躇しているので俺が先に食べる。
「おっ、なかなかイケる。美味い美味い」
2つ3つ食べるとお江と桃子も一口。
「あっ、本当だ、美味しいよ。マコ」
と、お江。
「本当、これなら何にでも合いますね」
と、桃子。
「お江、これは、桃子の努力の賜物だぞ。よくここまで作ったな桃子、美味しいぞ」
と、褒めると桃子は、
「美の為ですから」
と、顔をさすっていた。
「まだ若いのだから気にしなくても大丈夫じゃないか?肌綺麗だし」
と、俺が言うと
「御主人のお子が早く出きるよう美しくありたいのです」
と、小声下を向きながら言う桃子。
「おっ、おう・・・・・・」
頑張っているのだがこれは、授かり物、どうすることもできない。
桃子は姉達に子供が出来たので焦っているのか羨ましいのかなのだろう。
「大丈夫、桃子ちゃんは私より胸有るんだからマコの好みのはずだよ」
と、おっぱいチッパイ夢いっぱいのチンマリ胸に当てて言うお江。
「そうですか?夜伽の時は確かに胸よく、な・・・・・・」
「わーーーー、それ以上言っちゃだめ、側室同士て俺の夜伽の話しを俺のいる前で話すの止めて、スッゴい恥ずかしいから」
「私、胸より脇の下な・・・・・・」
「わーーーー、お江、止めなさい」
俺の性癖暴露大会になりそうだったので俺は退散する。
和風トマトケチャップは黒坂家の新しい料理に加わった。
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