第238話 常陸国立茨城城女子学校増築

 常陸国立茨城城女子学校の生徒が運営する食堂が人気となると、学校の知名度も上がって巷で話題になっていると報告が多数来るようになった。


初めはやはりと言うのか、俺の側室なのだろう?側室として買われたのだろう?と、噂されていたらしいが、外で働く姿を直接目にすると言う行為は、その噂を払拭すると言う嬉しい効果があった。


すると、出てくるのは自らというのか、親などが望んで学校に入れたいと言う者が出てくる。


窓口となっているのは前田慶次なのだが、困惑して聞きに来た。


「どうしましょうか、御大将?」


「どうしましょうか?と、聞かれてもね、予測していなかったな。遊郭に売られる女子を買い取って働き手として手に職をつけて、しかるべき家に嫁げるよう教育するためとしか考えていなかったから」


「困りましたね。金のない口減らしで売られる娘たちは引き受ける予定でしたが、比較的裕福な家の娘まで学校に入れて花嫁修業させたいと言ってくるのですから人数が大幅に増えます」


「はははっ、なんか大奥みたいだな」


「なんです?その大奥とは?」


口を滑らしてしまった。


史実歴史線での江戸時代の大奥は、将軍のハーレムではあるのだけど、そこで働く女性は多く大奥で働くことで泊がついて良い家に嫁に行けるようになったらしいが、今まさに常陸国立茨城城女子学校はそれに近い状態ではある。


口を滑らしてしまったことは、いつものごまかし笑いで煙に巻く。


すると、慶次もそれ以上は追及はしてこない。


それが、うちの重臣たちの暗黙の了解となっている。


二人で悩んでいると、茶々、桜子、お初の産休で現在、実質学校の長であるお江が入ってきた。


「学校の事で悩んでいるの?マコ?」


「ああ、自ら入りたいと言う者も出てきているみたいだし」


「みんな入れちゃえば?働き手として手は多いほうが良いよ、養蚕・紙漉きに城の仕事、そして食堂となってきて忙しくて勉強が疎かになって来ているもん」


「人数増えると、お江たちが大変になるのでは?」


「大丈夫だよ、先に入ってる子達が後から入ってきた子達を指導するから」


「そうか、一期生が次の子達を指導していくか、できなくはないか、よし慶次、今まで通り売られる娘を優先しながら入学を許可する。ただし、裕福な出身の娘たちにも同じ仕事をさせる。それが条件で自ら入りたい者にも許可しよう。それが出来ない者は酷だが退学とする」


「はっ、ではすぐに手配いたしまして増築を開始します」


「金ってあるの?」


次から次へといろいろな物を作っているから少し気になる。


「はい、食堂の売り上げだけでも十二分に」


「そんなに儲かってるの?」


「はい、毎日長蛇の列ですから」


「そっか、なら生徒が料理を覚えたら二号店、三号店と次々に増やしていくか」


「はい、それがよろしいかと」


・・・・・・元祖チェーンレストラン店と発展していくとは、この時は想像していなかった。


出している料理は作り方さえ覚えれば真似などできなくはないが、それは『大納言黒坂常陸守真琴直営食堂』の真似となるわけで、おいそれと真似をして商売をする度胸のある者は現れない。


取り締まりの対象になりかねないと恐れたと後から知ることとなる。


看板に俺の名と言うのはいろいろな効果がある。


恐るべし『大納言』。


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