第237話 四大国民食

 俺は城の台所に行き、梅子達に料理の支度をさせる。



大きな鍋に綺麗に洗った豚の骨を入れ、野菜などと煮こむ鍋。



別の鍋には鳥のガラを野菜と共に煮込む。



さらにもう一つは、鰹節やサバ節、干し鰯に鯛も入れた鍋で三種類のスープを作る。



そして、俺はひたすら小麦粉と格闘中。



知識はあるが作るのは初めて、美味く固まらない。



それを見かねて手助けしてきたのはワイルドガールの梅子だ。



「御主人様、私が変わりますから」



と、言うと何とも器用に小麦粉を練り上げていく。



「んー、このままでは『うどん』になってしまう気がする。ん?そう言えば、水戸の水戸藩ラーメンがあるな。確か日本史史上、史実歴史時代線で初めて食べたとか言われている徳川光圀が作ったラーメンの再現で、麺に蓮根を練りこませてコシを出すんじゃなかったかな?梅子、そこに蓮根を摺り下ろして入れてくれ」



桃子が摺り下ろした蓮根を小麦粉と混ぜていく。



白い大きな塊となった物を棒で薄く引き伸ばしていき、折りたたんで細く切ってもらい茹でる。



そうやって悪戦苦闘しているうちに夕方になり、煮込まれたスープは完成した。



豚骨スープ、鶏がらスープ、魚介スープそれぞれに調味料を合わせる。



「おっ、スープはなかなか、しかし、麺はまだまだかな、かん水?とか言うのを入れるはずなんだけどあれって何なんだっけ?んーコシを出したいのだけど、喜多方のあの平打ち麺みたいなのを作りたいから、これは今後の研究課題だな」



と、味見をしていると茶々達が来る。



茶々、お初、桜子は悪阻中の為、豚骨とかよりは魚介と思って作った魚介塩味スープの入った麺を出す。



お江には豚骨スープ麺。



梅子と桃子は自分で好きなようにブレンドしていた。



「また、変わった物作ったわね」



と、茶碗を凝視するお初。



「わーマコの新作料理だっ、いただきます」



と、一番初めに手を付けるのはやはりお江。



「美味しい、この麺と汁が凄く合うよ」



それを見て茶々達もスープを一口飲み、麺をすする。



「まぁ、美味しいございます。真琴様、これは何という食べ物なんですか?」



と、茶々。



「これは『ラーメン』と言う食べ物なんだけど、俺の求めている面の硬さにはなっていないんだよ」



うどんの細切り麺に近い食感だったが皆は初めて食べるラーメンに満足しているようで、ペロリと平らげていた。



「とても、美味しゅうございました」



「ありがとう、これも店で出せるように梅子達頼んだよ」



おそらくこの味でもそこそこ売れるようにはなりそうだが、モチモチの平打ち喜多方ラーメンの麺のようにするにはどうすれば良いのだろうか。



昭和、平成の四大日本国民食と言って過言ではないだろう、唐揚げ、豚カツ、カレー、ラーメン。



俺はご飯党なので作るのが遅くなってしまったラーメンだが、俺の店で出すと一番の売り上げを出すメニューとなった。



麺物は、この時代でも受け入れられるらしい。


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