第232話 産業革命開始
俺の直属の家臣の国友茂光が50人程引き連れて登城してきた。
「殿様、御用命の陶芸師を集めました」
「おっ、御苦労様」
広間に集められた者達はひれ伏している。
「皆、今日から俺の家臣、よろしく頼む」
「常陸大納言様の家臣になれて光栄にございます。何を作れば宜しいのですか?茶器?皿?瓶?香炉?」
と、陶芸師をまとめる長齢の人物が聞いてくる。
「作って欲しいのは煉瓦だ」
「れんが?すみません。不勉強で知りません」
煉瓦を説明する。
長方形の四角いだけの塊に不満の顔をする。
「すまないな、単純な形の物なのだが求めている物には熟練の技術が必要なんだ。この煉瓦を積み重ねて巨大なたたらを造る。高温に耐えうる物でなくてはならないのだ」
「たたら?鉄ですか?」
「そうだ、新たな製鉄方法、反射炉を造る。これからの時代は大規模な製鉄が必要なんだ」
「竈を造る要領で造れなくはありませんが、その高温に耐えうる物を作るには土が重要でそこから探さなければ」
「心配はいらぬ。俺の陰陽の力ですでにその土がある地は占ってある。那須郡小砂村だ」
もちろん、陰陽道ではない。
茨城県ひたちなか市にある反射炉の資料で知っている。
中学時代、校外学習で学んだ知識を覚えている。
「なっ、なんと、あの有名な常陸大納言様の陰陽道、それに関わる仕事を我々が出来るのですか?これは末代までの栄誉、有り難きこと、常陸大納言様が御所望の反射炉、しっかり作らせていただきます」
「これは、常陸だけでなく日本国、さらには世界を変えうる大事業、頼んだぞ」
俺が考えているのは大規模製鉄、その為には反射炉が必要で反射炉を造るためには耐熱煉瓦が必要、耐熱煉瓦に適した土は幸い俺の領地、更には燃料になる石炭も常陸には豊富に埋蔵されている。
常陸には銅山もあるが、先ずは製鉄から開始する。
大航海時代に乗り出してしまった織田信長を支えるための製鉄だ。
漕ぎ出した新たな時代に勝つためには大量の鉄が必要なんだ。
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