第230話 妊娠ラッシュ
茨城城に戻ると桃子と梅子が出迎えてくれた。
茶々は身重だからわかるが、お初と桜子がいないのが気になる。
お江から小糸と小滝の情報を聞いてお初は激怒して、どこからか狙撃でもしてくるのでは?と、不安になる。
出迎えてくれた二人に、
「お初と桜子は?」
と、聞くとにこやかな微笑みだけが返ってくる。
お江のほうを向けば、わざとらしく口笛を吹きごまかしている。
「何があったの?」
「御主人様、二人は休んでおられます」
ん?休んでいる?具合が悪いのか?でも、何となく嬉しそうな?
あ!
急いで御殿に向かうと、囲炉裏の前で白湯を飲みながらくつろいでいた。
「ただいま帰った」
「お帰りなさいませ。出迎えもせずに、すみません」
と、茶々が言う。
「うん、それはわかっているから良い、体を大切にしてくれよ」
と、茶々の隣に座りお腹を撫でると、
お初が茶々との間に、桜子が左隣に座ってくる。
「二人はどうした?具合が悪いと聞いたけど大丈夫なのか?」
と、言うと二人は笑いながら俺の手をとり、それぞれのお腹に当てる。
「真琴様、出来たのよ」
と、言うお初。
「御主人様、お腹にやや子が」
と、桜子も。
「ぬほっ」
っと、間抜けな声をを出してしまう。
「え?え!二人いっぺんにってか、三人の子!うわわわわわわわわわわわわっ、くぅーすげーめっちゃ嬉しいんだけど」
「真琴様、少し落ち着いて」
と、茶々がいつものように茶を点ててくれた。
それを一気に飲み干す。
「そっか、一気に三人の子供の親になるのか、嬉しい、こんな嬉しいことはないよ、体大切にしてくれよ」
「はい、わかっておりますが、真琴様の身の回りの世話するものが減ります。そこで、すでにお江からは手紙が先に来ていますが、小糸と小滝なる者と、あおいをおそば近くに置かれては?」
と、茶々。
「え?側室?断ったんだよ。連れて帰ってきたから学校のほうに入れようかと」
「私達の御役目がお江、梅子、桃子が代役になりますのでさらに忙しくなります。身の周りの世話する者がいなくなりますので」
「真琴様、勘違いしないでよ、側室じゃなくて御側係よ、近くにいる女の子にやたらめったら出だしするんじゃないわよ」
と、お初が厳しい目で言ってきた。
「だから、手出ししてないから、勘違いするな」
「どうだか?また舐めまくったんじゃないの?」
「してないから」
と、言う会話をしているとお江入ってきていつものように俺の後ろから手を回して抱きついてきた。
「姉上様、私が見ていた限りでは大丈夫でしたよ。マコは私の事、お風呂で舐め回してたけど、くつぐったいくつぐったい」
「ゲホゲホゲホ、だからそういう事は言うなって」
額に変な汗が吹き出てきた。
「茶々が、そういうなら任せるよ。ただ、側室は増やす気は今の所はないからね」
「はい、わかっております。身の回りの世話する者の話をしているだけですよ」
磐城から連れて帰ってきた小糸と小滝と、学校の生徒である、あおいが俺の身の回りの事をする係になった。
年内には三人のこの父親か、孫の顔、親父達に見せてやりたいな。
そんな事を思いながら三人のお腹を優しく撫でた。
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