第226話 伊達のお・も・て・な・し・7

 四日目にして、お供を連れた50人ほどの行列が宿に前に姿を見せた。


おっ!伊達政宗到着か?と、二階からこっそりと見ていたら、籠から出てきたのは、オバサンだった。


ん?


「母上様、なぜここに?」


と、迎えにでた政道。


どうやら伊達輝宗の正妻で、最上義光さん妹、義殿みたいだ。


「政道、健在で何よりです。米沢から急いで参りました。常陸大納言様にお目通りを」


「母上様、無茶をして」


と、聞こえる。


俺は身なりを整える。


「御大将、母が会いたいと来てしまいましたがよろしいでしょうか?」


「あぁ、構わない。会おう」 


義殿が待っている部屋に行くと、岩○志麻さんが座ってひれ伏していた。


「伊達輝宗が妻、最上義光が妹、義と申します。御尊顔の栄誉を賜りまして、まことにありがとうございます。政道が世話になっているというのに挨拶が遅れて申し訳なきことで」


「黒坂常陸です。どうぞ面を上げて楽にしてください」


「失礼して」


と、顔を上げる義殿。


「政道にはむしろ世話になっておりますよ。とても熱心に働いてくれる。近々、城を与える手はず、伊達家と黒坂家の橋渡し役になってもらえるよう期待してます」


「我が息子が常陸大納言様に誉められとは嬉しきことです」


「お世辞ではなくなく、本当に良い家臣です」


「ありがとうございます。伊達家との仲が深まりますなら働きに出して良かったと言うもの、しかしながら言上つかまつります。最上もどうか最上家もよろしくお願いします」


「ん?最上家?あっ!政道、義康を呼べ」


「はい、すぐに」


「え?義康?」


すぐに最上義康が入ってくる。


「叔母上様どうしてここに?」


「常陸大納言様にご挨拶をと思ってきたのですが、義康殿がなぜここに?」


「父上様の命により常陸大納言様の小姓となりましてございます」


「流石に兄上様、抜け目がない」


と、義殿は笑っていた。


「義康が最上との橋渡し役、最上をないがしろにはしていませんよ」


と、俺が言うと、


「ありがたきこと、伊達も最上もいついつまでもよろしくお願いします」


と、頼まれてしまった。


伊達政宗を暗殺しようとしたこの人物は二つの家の存続を強く思う人物なのだ。


だからこそ、史実歴史時代線では、関白秀吉に睨まれまいと政宗を暗殺しようとした。


最上と伊達を思っての行動、この時代の結婚って改めて大変なものだと思った。


この日の夕飯には、義殿が自ら仕留めた雉を使った雉肉汁が出された。


伊達政宗が好物にして、毒を入れられたとする料理なのだが、もちろん毒なし。


歯ごたえのしっかりある雉肉、出汁がよく出ていて美味かった。


政宗が好物にするのがよくわかる。

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