第213話 新家臣・十手術の使い手(新免無二)

 家臣募集は引き続いた、実は宮本武蔵が来るのでは?と期待していたが、それは叶わないのを実は今、知った。


小広間に通されたのは、新免無二なる人物だ。


十手術が得意な銭形平次?・・・・・・村上〇明似のナイスガイ、30代前半の年頃だろう。


この者の名前は好きな者しか知らないだろうが、実はあの宮本武蔵の父親だ。


宗矩の試験に小太刀の木刀でなかなかの勝負をしたらしい。


「子供は何歳ですか?」


「はい、5歳にございますが、よく私に子供がいると思われましたな」


「ははは、陰陽の力で見えましたから」


と、ごまかす。


「新免殿、当家で働く覚悟を決めるなら御大将の不思議な力や言動には一切触れない事、これは家臣一同暗黙の了解となっております」


と、宗矩が説明する。


おそらくは森力丸がそう伝えて、家臣間で知らないうちに決まりごとになっていたみたいだ。


「御無礼いたしました。噂は少々耳にはしていたのですが、陰陽道の使い手には初めて会うものでして申し訳なく」


と、頭を下げて謝っている。


「気にしないで良いのだけど、それより十手術が得意なんだよね?」


「はい、相手を殺さず制する術にございます。足利義昭公より日下無双兵法術者の号を承っております」


「十手術、良いねぇー。慶次の配下に伝授させて城下、領国の取り締まりに役立てたい。3000石で罪人捕縛役に手解きする十手術指南役の役目を申し付ける」


「しかと承知いたしましてございます」


「それと、息子さんが成長したら城に出仕させるように」


「無論のこと、この新免無二一族郎党、黒坂家に仕える覚悟で登城しております」


「それは心強い、末永く頼んだよ」


新免無二を雇うことは、将来、宮本武蔵が家臣になるのと同意義らしい。


成長が楽しみだ。


この後、新家臣はなかなか現れなくなる。


何やら宗矩の試験でひと悶着あったらしく騒ぎが広まったらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る