第212話 新家臣・剣豪岩流開祖(佐々木小次郎)

 さらに宗矩に家臣採用試験は続いている。


そして、宗矩に一矢報いた人物が現れた。


またまた、小広間でひれ伏している人物は20代後半のもっこり〇こみちさんのようにすらっと背が高い人物だった。


かの有名な物干し竿と呼ばれる刀は帯刀していない。


流石に城内では帯刀は、守り刀の小太刀までと制約されているからだ。


家老職の者は、俺の護衛もあるので許可はしている。


「面をあげよ、黒坂常陸だ」


「拙者、鐘捲自斎が弟子、佐々木小次郎と申します」


キターーーーーーーーーーーーーー!剣豪、佐々木小次郎!


戦国末期オールスター家臣を超して江戸初期剣豪オールスター家臣ルートは鬼真壁から始まっていたのか?


次はだれが来るよ?誰よ?宮本武蔵か?と、少し興奮し鼻息が荒くなると、宗矩がまた咳ばらいをした。


真面目君家臣。


「宗矩に一太刀浴びせたらしいね」


「はっ、ですが致命傷になる場所をかわされ当てた勢いの太刀の力を相殺されてしまいました。まだまだ未熟者にございます。しかも、宗矩様は無刀、太刀を持っていたなら間違いなく私が負けていたでしょう」


と、しんなりとしている。


宗矩の無刀取りは相手の心を打ち砕くようだ。


「宗矩は特別だから、で、当家で働きたいのだね?」


「はっ、この腕を常陸様に買っていただきたく」


「うちは火砲術に重きを置いているけど、剣だって疎かにしているわけではないから、剣豪なら歓迎するけど、戦働きはほとんどないから期待してもらうと困るよ」


「心得ております」


「佐々木小次郎、長物の太刀が得意なんだよね?」


「はい、3尺の備前長船長光を愛刀にしています」


「物干し竿などと呼ばれる刀だね」


「よく、御存じで」


「一度見てみたい、庭で少し振るの見せてよ」


と、言うと支度がされ庭で佐々木小次郎は3尺の備前長船長光を軽々と振り上げていた。


そこに春の風と共に渡ってきたばかりの燕がちょうど飛んでくると、素早く振り上げ燕の尾を二股に斬って見せた。


「岩流、燕返しでございます」


「なるほど、その大剣を軽々と扱う腕力素晴らしい、小次郎、3000石を与え、剣術指南役並びに前田慶次付きとし城下の治安維持を任せる。不届き者はその剣で斬り捨てよ」


「はっ、ありがたき幸せ。期待に応えられるよう働かせていただきます」


「よろしく頼んだよ」


さて、次は誰が来るのだろう。

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