第202話 妊娠

茨城城に帰ると年の瀬、慌ただしく皆が働いているなか茶々の姿が見えない。


「お初、茶々は?」


「真琴様、お出迎えもせず申し訳ありません。姉上様は今、寝所で休まれてます」


と、言うがどことなく喜ばしいことでもあったかのように言うお初に疑問が、昼間から寝所って?


「具合が悪いのか?」


「そんな暗い顔しないでください。姉上様にお会いになればわかりますよ」


と、言う。


具合が悪いのに喜ばしいこと?


「マコ~おめでとう」


「はぁ?まだ、年は開けてないぞ、お江」


と、ニコニコしながら言ってくる、お江。


「お江、言っては駄目、姉上様自ら言うって言っていたではないですか」


「初姉上様、ごめんなさい。マコ~早く寝所に行きなよ~」


と、お江に背中を押されて寝所に向かうと茶々が横になって休んでいた。


「入るぞ、茶々、今帰った。どうした風邪か?」


と、言うと身を起こす茶々。


「お帰りなさいませ。お出迎え致さず申し訳ございません」


「いや、良い、良いからどうした?顔も少し青白いのでは?ちゃんと食べているのか?」


「その、真琴様、悪阻か酷くて」


「はい?ツイート?」


「つわり、です」


「はぁ?ツイッター?」


「ですから、懐妊いたしました」


『悪阻』が、聞こえなかったわけではない。


ただ、あまりにも予想だにしていなかった答えに脳内解釈が追い付かなかった。


一瞬身が固まる。


茶々が不安そうな顔を見せたのがわかった。


「おっしゃ~、わはははははははははははは」


「真琴様?」


ガッツポーズをして飛び上がる。


飛び上がって喜びを表現していたら欄間に頭を打った。


「イタタタタ」


「大丈夫ですか?」


畳に踞る俺に心配して布団からでて背中に手を当てる茶々。


その手を俺は振り向いて握る。


「体冷やすなよ、布団に入って休んで、悪阻か大丈夫か?すまん、わからなくて」


「はい、大丈夫ですよ、病気ではありませんから」


「そっか、そうだな、でも、食べたいものとか食べられる物があるなら言ってくれ、無理してても手に入れる」


「真琴様、真琴様の一国の主、そして、大納言そのようなことはしてはいけません」


「そうか?そうだな。兎に角、体大切にしてくれよ」


「大袈裟すぎますよ、お初や桜子達が仕事を代わってくれていますから大丈夫ですよ」


「そっか、何かあったら言ってくれよ」


「わかっていますから、真琴様の子を無事に産んでみせますから」


俺は茶々のお腹に手を当てた。


「そっか、この中に俺の子が」


はっきりと言って出来ないと思っていた。


時代、歴史には修正力があるなどと言う物語を読んだり見たりしてきた。


だから、過去にタイスリップした俺には子供など出来ないと思っていたが、どうやら歴史には修正力はないらしい。


きっと、この世界線には世界線の未来が有るのだろう。


子供・・・・・・俺の子、親父達に見せてやりたいな。


お祖父様も喜ぶだろうな。


しかも、茶々が産む子が我が子って歴史好きには身震いする事案だろうな。


俺が父親か。


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