第200話 海外進出・KING・of・ZIPANGⅡ号

俺は一連の行事に参列したあと、帰郷するため大阪城に行くと、織田信長が待っていた。


「帰るの早いな、祝宴にも参加せずに」


「ははは、すみません、苦手なんです」


「まぁ、良い、で、相談がある付いてこい」


と、言われて一隻の真新しい南蛮型鉄甲船に案内された。


船首にはKING・of・ZIPANGⅡと書かれている。


全長:100m 最大幅:20m


マストは4本有る。


船の片側には24の大砲が砲口が覗いている。


左右両方合わせれば48門、今までの南蛮型鉄甲船の2倍はある。


船尾には3階建ての小天主があり、そこに案内された。


最上階でも10畳の広さがある。


床の間には俺が書いた世界地図が飾られていた。


「信長様、海外に行かれますか?」


「あぁ、出る、だが、一つ迷っている。唐天竺を目指すか、南蛮を目指すかだ」


「大陸攻めは勧めません。日本はこのあと約300年後一度中国を支配圏に置きますが、広大な土地を支配しきれませんでした。中国は豊臣秀吉も唐攻めをしましたが泥沼にハマりましたから。今の織田軍の力なら支配することも可能でしょうが、大義ない支配は直ぐに頓挫します」


「だろうな、では、どこに進むべきか?」


「はい、今、南蛮西洋は大航海時代、その流れに乗り海を制することを勧めます。まだ、このあたりは南蛮には見つかっていないはず、ここをまずは占領しては?」


と、俺はハワイを指差した。


「ほう~、まだ見つかっていない地もあるのだな?」


「はい、ハワイが見つかるのは確かもう少しあとです。ここは大平洋の真ん中に位置し、大平洋を制するなら必ず必要な島です。大陸に大量の兵を出すくらいなら大平洋域の小島を占領したほうが宜しいかと」


「海を制する者は世界を制するか?」


「はい、海洋国家日本です」


「よし、先ずはこの島を日本にしてくれる」


「どうしても大きな陸地が欲しいなら、ここを勧めます」


と、オーストラリアを指差す。


「この地なら、中国のような国は完成しておらず、火縄銃改・大砲で装備した艦隊なら直ぐに占領出来るはずです」


信長は地図を見ながら、オーストラリアをじっくりと見ている。


「よし、有り余ってしまった兵どもの行き先は決まったな」


「俺は行きませんよ。もう少し、常陸国統治に専念したいです」


「統治に専念してばかりでなく、早く子を作れ、しかも姫を」


「そんなの狙ってできませんよ!しかし、嫡男でなくなぜに姫です?」


「三法師の嫁とする」


「そんな生まれる前から許嫁って無理がありますって」


「考えとけ」


「わかりましたよ、しかし、海外に行くなら体は大切にしてくださいよ」


「ぬはははははは、常陸が教えてくれたカレーを毎日食べているせいか元気だ、それにこれが何やら良くてな」


と、言って黄色い果実を見せられた。


「お!バナナ、これは健康に良いですからね、手にはいるなら、琉球あたりで栽培を試みてはいかがでしょうか?」


「いや、このバナナを手に入れるために先ずはここを目指す」


「インドネシアですか?ここら辺は島々が多いから力攻めでなく友好的に買い上げをしたらいかがですか?」


「なぜにだ?」


「ここの海峡が貿易の要になります。無駄に敵対すれば通るのに支障が出ます」


「ゆくゆくを考えてか?わかった考えよう」


「では、俺は茨城城に帰りますね」


「変な城ばかり、造るなよ!ぬはははははは」


と、笑われながら言われ俺は頭を掻きながら恐縮した。


織田信長、天下統一後、南蛮型鉄甲船艦隊の増強に力を入れており50隻の大艦隊となっていた。


その艦隊で海外に漕ぎ出した。


俺は茨城城に帰る。

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