第192話 女性活躍化社会

 「どうしたのよ、改めてみんな集めるなんて、毎食一緒じゃない」


と、お初が言う。


そう、うちでは毎食、妻の茶々、側室のお初、桜子、梅子、桃子、そしてまだ、側室ではないが、ほぼ確定のお江と一緒に食事を食べている。


今は改めて小広間に6人を呼んだ。


仕事の話をしたいので食事中にはしたくなかったからだ。


「お初様、御主人様はお食事中は他のことを考えたくないのだと思いますが」


と、桜子が言う。


「ああ、その通りだ。食事中には仕事の話などしたくはない。美味しい物を食べて楽しくしていたい。で、今日は頼みがある」


「頼みですか?頼まれなくても、御主人様の為なら熊でも鯨でも海豚でも捌いて見せますが」


と、梅子が包丁で切るかのような素振りの動作をする。


ワイルドだ。


「違いますよ、真琴様は家臣が不足しているから私達にも働いて欲しいのですよ」


と、茶々が言う。


「ははは、流石、茶々だね。俺の心を思考を読むのが得意だね」


「マコ~、仕事何すれば良いの?」


と、一番若いお江が首を捻って言う。


「では、言い渡す」


俺は背筋をピンと張って書いといたメモを読む。


「茶々、留守居役兼勘定吟味役奉行とする。俺の代理と今まで通りのお金、財政の管理を頼む」


「万事お任せください」


「お初、城守衛総督奉行とする。この城内の守衛警備を頼む」


「敵なんて、みんな私の薙刀で斬り刻んであげるわ」


「お初、薙刀ではなく鉄砲を鍛錬してね、それと茶々とお初は引き続き、生糸の反物生産も頼むからね」


「そ、そうね。この城は火器防御型なんだもなんね」


と、火縄銃を撃つ仕草をする。


「桜子、台所方奉行とする。日々の食事、食料の管理を頼む」


「はい、今までよりさらに精進いたします」


「梅子と桃子には、料理を教える係を頼む」


「えっ、誰にですか?」


と、当然聞いてくる梅子。


「それは後々人を集める予定だから、今まで俺が教えた料理を書にまとめていて貰えるかな?」


「はい、わかりました」


と、桃子が仕事を貰えたぞ!っと喜んでいるかのように大きな返事をした。


「元気な返事で良いな」


「マコ~、私は私は?」


と、俺の後ろに回って首を絞めてくる自由奔放娘、お江。


「お江は、読み書きを毎日続けて教えられるくらいになって欲しいかな」


絞める腕の力が強くなる。


「失礼ね。私、読み書き得意だもん」


腕を叩く。


「わかってる、わかってるから首を絞めるな。人に物を教えられるくらいになっい欲しいんだよ。今みたいにいつまでも、お転婆じゃ困るんだよ、料理と組み合わせて教えるのに人が必要なの」


「料理と一緒に読み書きも教えるの?その人に?」


「そう、だから、お江は学問方教授奉行になってもらうんだから、ちゃんと仕事はあるんだから」


「そっか、私、必要なんだ」


と、いつもより静かな落ち着いたトーンで言う、お江。


今いる女性陣の中で唯一、肉体関係を結んでいない、お江には思うところがあったのだろう、だから極度の甘えん坊になっていたのかもしれない。


演じていたのかもしれない。


「必要ないわけないだろ、わかったら首絞めるのやめて」


「やだ」


と、言って強く締めてくる。


俺の顔が真っ赤になり出したのだろう、茶々が止めてくれた。


「ふ~、苦しかった。お江は学問方教授奉行に任命するから、その下準備。梅子と桃子は料理方教授奉行の準備を滞りなくしといてね」


俺の政策、考えるところがある一番大切な役目。


うちは女性にだって活躍してもらいたい。


先ずはそれぞれに役目の頭になってもらいたい。


黒坂家と言う、我が家中では側室は重臣より位は高いのだから人を指図する立場。


これからその立場を利用して働いて欲しいのだ。


そして、その女性が働く流れを作っていきたいと考えている。


泣く女子供を先ずは領内からなくしたいのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る