第187話 タイムパラドックスレター

新土浦城で執務の毎日を過ごしていると、法隆寺に行った宗矩が陸路で帰城した。


「ただいま、帰りましてございます」


「お、ご苦労様、法隆寺ではあれ預かってくれた?」


未来の家族に当てた手紙を厳重な密閉をして、法隆寺に預かって貰う。


「はい、南蛮歴で2000年過ぎるまで封印すると言う不思議な依頼で戸惑っていましたが、御大将の御依頼には答えると、作られていた仏像の体内に封印されました。その頃となれば必ず修復されるから開けられるだろうと言っていました」


タイムパラドックス?タイムパラレル?パラレルワールド?世界線などわからないが、俺が消えないと言うことは俺が存在する、誕生する時間線が必ずあり、今ここで起こしている行動で分岐線は幾重にもなる。


なら、一つの未来線には必ず俺が修学旅行で消える未来と繋がる線もあるはず。


何が正解などと言うのは時間線を考えたときには無限大∞。


それが俺が出した答え。


だから、一つの可能性にかけて手紙を書いたのだが、って、あれ?俺が戦国武将として活躍した先の未来で見つかる文献って、歴史的価値とかなんやかんや、重大な発見で、もしかして公表されちゃう?


鑑定団とかで鑑定されちゃう?


箱は良い仕事してるけど。


あれ?毎週土曜の長寿番組で、ふしぎ発見されちゃう?


あれ?もしかして、書いたことで俺の秘密がバレてしまう?


ん?やってしまったか?


自爆な気がする。


今さら仏像を壊せなどとは言えない。


天下の副将軍がそんなことを言ったら廃仏棄釈にだってなりかねない、それは出来ない。


神仏を敬うのが家の掟、罰当たりなことは出来ない。


困った、間違いない、やってしまった。


お爺様、頼みだな。


お爺様、信じているよ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る