第182話 左甚五郎作・魔女っ娘フィギア
冬を前にして、新土浦城の本丸御殿の住居部はなんとか完成した。
城全体が出来てはいないのだか、引っ越しをする。
単純に土浦城の造りがすきま風が吹いて寒いからだ。
もちろん、新御殿はだるま型ストーブが随所に設置され、冬対策が万全。
そんな本丸御殿の造りはオーソドックスな二条城の本丸御殿のような外観、中には入れば、全畳張りで出来ている。
襖絵は、今まで見てきたものとは明らかに違うが、突飛抜けて異質なものではなく、朱雀、白虎、青龍、玄武、唐獅子、麒麟、などの神獣や、武御雷が大洗に御光臨されたときの絵、天岩戸伝説の絵などの日本神話、常陸風土記から黒坂命(くろさかみこと)が茨の城で賊を倒した絵、東富士と呼ばれる筑波山が描かれている。
大広間だけは、天女の水浴びの絵、三保の松原をうかがわせる海岸線に富士山をバックに松に羽衣を引っ掻けた天女達が海に浸かっている。
しかし、下品さはなく、なんとも見ていると癒される風景だ。
流石、狩野永徳。
それに合わせたかのように左甚五郎作の松林の欄間が芸術性を高めている。
実は、左甚五郎にはもう一体、細かな指示を出している美少女彫刻を頼んである。
桃色と青色の鬼娘二人と言えば、もう一人忘れてはいけない美少女、魔女っ娘がいる。
長い銀髪に青い瞳、猫の妖精を友人に持つ美魔女っ娘。
これは鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門が露見したときにはまだ、形が曖昧な状態だったので見つからなかった。
大広間の真っ正面の床の間に飾るつもりだったが、工程が進んだ段階で見つかってしまった。
「真琴様、いい加減にしないと刺すわよ」
と、お初に怒られてしまった。
お初は恐い。
俺が、俺だけが使う部屋に付けろと・・・。
そんな流れで寝所に付けようと考えたが、そう、毎夜交替で茶々達が来るからそれは出来なく、行き先はなんと、厠(かわや)トイレだ。
トイレと言っても広い、6畳の畳の部屋の真ん中に木で作られた和式便器。
ボットンではなく、意外にも水洗。
まぁ、桶に水が用意されている手動水洗だ。
俺の専用トイレと言えば平成では少し変な感覚なのだが、意外にも戦国武将はトイレにこだわりを持つものが多くいる。
伊達政宗や武田信玄が有名だろうか。
そして、俺もトイレは専用に作られた。
その座った真っ正面に、等身大美魔女っ娘が飾られる。
勿論、彩飾されパッと見ると生きた美魔女っ娘が立っているかのよう。
エ○リ○タン・・・・・・。
左甚五郎作は伊達じゃない。
立った状態で見れば優しく微笑んでいるのだが、ウンチングスタイルになり見上げると、その目線は汚物を蔑むように見るキツいと言うのか、恐ろしいと言うのか、なんとも言えない表情になる。
友人の猫の妖精の表情と言ったら、目を合わせたら凍らされそうな勢いがある。
トイレに付ける予定じゃなかったんだ、大広間の俺の座る後で睨み付ける美少女フィギアを作りたかったから、そう言う目線?目力?視線の注文を指示したのだが、間違いだった。
睨み付けられるのは、俺になってしまった。
落ち着かない。
出るものも出ない。
慣れるまでは暫くかかりそうだ。
困った。
左甚五郎作、美少女フィギアは置場所をしっかり確保しとかないと自分が困ることになると痛感した。
時たま平成では人間代の大きさで、美少女フィギアや世界的アニメとなったガ〇ダム、等身大R2-〇2等が売られていて、欲しいと子供ながらに思っていたが、その値段は子供には手が出せるものではなかった。
働くようになったら「買ってやる」と、思っていたが、今は名工・左甚五郎が家臣としている、買うことはできないが具現化ができる。
だからこそ、作りたかったのだが、本当に『だが・・・・・・』だよ。
置き場所って大切だね。
城は大きくても、反対する家族がいるとそうそう置けたものではないんだね。
現在はまだ、執務室になる部屋は建設途中だけど、そこなら俺専用。
ふふふ。
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