第183話 寒がりと温泉
俺は何度も言っているが極度の寒がりだ。
しかし、単純に寒がりと言う表現で寒いわけではない。
住居は断熱材などはなく、隙間風だってある。
太陽活動的に温暖化の周期の平成で育った俺にとっては、1600年初頭から始まる寒冷期に近づいている、この時代の冬は気温的にも寒いのだ。
現実的に平成では雪がめったに降らない茨城でも、今の常陸国・土浦では12月と言うのに何度か雪が積もっていた。
毛皮を身に纏い、ストーブの前で執務をこなす日々が続いている。
常陸国は縦に長く、今は南の区域ばかりに力を入れている。
西は何とか高山右近が畜産業と笠間城の整備を始めたが、磐城の国堺だって整備しないとならない。
ストーブの前で熊が丸くなっているかのようにして考えている。
隣の磐城、伊達政宗の領地。
磐城・・・・・・。
ハワイ・・・・・・。
「あ!温泉!」
磐城には、温泉がある。
平成では炭鉱で湧き出した温泉を使って作られる常磐ハワイア〇センター、大型リゾート施設のスパリゾートハワイ〇ンズで有名だが、温泉そのものの歴史は古い。
奈良時代にはすでに開湯しているとされる、「佐波古の湯」、延長5年の文献にもしっかりと乗っており、「日本三古湯」と自負しているくらいだ。
日本書紀の文献的には三大古湯は有馬温泉、道後温泉、白浜温泉なのだが、その歴史に引けを取らないくらいの温泉があるのだ。
温泉、良いな。
茨城にも古くからなら、水戸黄門が浸かったとされる袋田の滝のすぐそばに袋田温泉もあるけど、土浦からだと遠いし、山の中。
冬場に行くには寒い。
温泉、どうにかならないかな。
土浦に温泉・・・・・・。
あっ、ある。
あるよ温泉、確か採掘して湧き出すんだよ、しかも、今の城内の土地じゃん。
これ掘れないかな?何メートル下から湧き出すかはわからないけど、間違いなくあった。
温泉スタンドもあったんだから。
近所の井戸掘りのおじさんが使っていたのを何度も見ている、上総掘りと言う技法の井戸掘り施設の絵図面を書きだす。
子供の頃ってくだらない物に興味を持ってよくよく見ているが、そういうのが役に立つときってあるんだね。
井戸掘りのおじさんは親が友人だったから、何度か仕事場に連れて行ってもらって質問攻めにしたっけな。
小学校の夏休みの自由研究科課題で書いた記憶がある。
櫓もしっかりかけて学校で表彰されたんだよ。
竹での弾性を利用して掘削する櫓を図面に書く。
「力丸、これを大工たちに作らせてほしいのだけど」
「何です?これは?」
「温泉を掘るのさ、出てくるかはわからないけど、井戸掘りに使うこともできる技術なんだよ」
「水の確保に良い物ですね、わかりましたすぐに作らせましょう」
「と、その前に一応場所を指定するから、陰陽力を使って少し占い的にっと」
城の絵図面の上で、柏手を打ち精神を統一する。
「オンキリキリオンキリキリオンキリキリ・・・・・・」
地図の一点が光って見えた。
「おっし、ここを掘ってくれ」
と、指さしたのは本丸御殿と東の青龍御殿の間の土地だった。
上総掘りの櫓が組まれると昼夜を問わず掘削が始まった。
温泉出ると良いな。
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