第179話 鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門
蝉が合唱を始めた頃、新土浦城の縄張りと言うのか堀は形がしっかりと出来上がってきた。
北が桜川、南には花室川を一番外側の堀として、内側に二重の水堀、輪郭式であり稜堡式の縄張りを持つ城。
北の桜川を渡った所にある土浦城が一番北端、南側は花室川を渡る橋に大手門。
南北約7キロ、東西約5キロの巨城。
予定していた五稜郭並みを遥かに凌駕する城だ。
現在、土浦城が仮住まい、その為、新土浦城本丸御殿が急ピッチで作られている。
本丸御殿はもちろんパネル工法が採用されているため、外見的にはそれなりの形にはなっていた。
近江大津城にも採用した銅板屋根の御殿。
そして、その北側には望楼型天守も建ち始めた。
大まかな指示はしたが後は築城奉行の慶次と、人を出している徳川家康に任せてはある。
内装は、お初の薙刀事件以降、奇抜な物は言わないように控えた。
冬が暖かければ良い。
秋が近付く頃に、大手門が完成した。
完成して俺がつけた名前は、
『鉄黒漆塗風神雷神萌美少女門』
下地は黒漆塗りの鉄とし、そこに才色が施された風神雷神の美少女が左甚五郎作の木彫りの装飾がされている。
俺は始め、鬼娘を書いたのだが、鬼のいる城より守り神のいる城のほうが良いと左甚五郎に風神雷神にされた。
木彫りには才色がなされ、左門には桃色の髪の風神、右門には薄い青いの髪の毛、二人の美少女は片方の目を少し隠すようなショートカット。
服は乳と下半身を隠すが臍が出ている美少女。
そう平成の世界で俺が愛したラノベヒロイン鬼娘、レ○てラ○を左甚五郎が風神雷神とアレンジしたものだ。
身長160センチ程の立体的彫刻は、等身大フィギアと言っていいだろう。
左甚五郎が作る等身大美少女フィギア、今にも動きそうな美少女。
鉄球は持っていないが、今にも強風を吹き、雷を落としそうな勢いが感じられる。
見る角度で、風神雷神の力強さを感じ、違う角度から見ると美少女の可愛らしさを感じると言う、不思議な彫刻は設置すると多くの者が凝視して立ち止まった。
リアルを通り越した芸術品。
「可愛い~」
と、喜んでくれたのはお江だけで、茶々とお初は呆れ顔。
慶次はと言うと、門を見ては唸っていた。
「うーーん、これが御大将が美しく思う物か、それがしにはわからん」
「慶次、萌えなんだよ、萌え」
と、俺が言うと。
「萌えーー?」
と、首を捻っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます