第171話 家畜

近江大津城から連れてきた、鶏や豚は土浦城の端の郭に急こしらえで小屋が作られそこに入っていた。


しかし、うちの家畜は重要な食料、狭いところで押し合い圧し合いで育てるのは良くない。


陸路で、着いた家畜担当の家臣達が土浦城の改築を始めて、豚舎と鶏舎を作り始めた。


今回は近江大津城とは違い土地に余裕がある。


作られる鶏舎・豚舎を視察して思った事を言う。


「牛を飼いたいのだけど」


と、力丸に言うと、


「牛車を走らせますか?」


「いや、もちろん食料だよ、牛を食べたい」


「え!?牛は農作業でも使うからあまり食べないのですが」


「牛、美味いんだよ、しかも乳、牛乳は栄養価が高いし」


「黒坂様、何やら食べ物の話しをしておりますね、何を手にいれれば良いのですか?」


「いやね、正純、牛を食用に欲しいんだよ」


「わっかりました!牛ですね!牛手にいれてきます」


と、勢い良く走り出しそうな正純を止めた。


正純は俺が作る料理の虜。


「ちょっと待った!なんでも、良いわけではないから、若い牛、雄と雌が欲しいんだからね、それに農業で使っているのは駄目だからね」


「なんや、また商売の匂いがしまっせ、何を買えばよろしいのでんがな?」


「お、今井宗久殿わざわざこちらまで来たのですか?」


「東の拠点作りに来ました。また、町に店をかまえたいので、土浦の街作り協力しまっせ、城下に店の出店の許可いただけますか?取り合えず牛が欲しいのですね?わかりました、手配いたしましょうがな、では、あちらこちらからあらゆる牛を用意いたします」


ん、一抹の不安があるが任せることにした。


今井宗久に鶏を頼んだら面白がってあらゆる種類を集めてきて、長鳴きのうるさい鶏と軍鶏が交配しちゃって、動き回る五月蠅い鶏が誕生して、城を闊歩しているんだから。


闘牛用の牛とか買ってこないよね?


大丈夫だよね?


信じてるからね。




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