第140話 小田原城砲撃

海の藻屑となりまさに蟻のように浮いている敵の兵士に流石に止めの火縄銃斉射などはしない。


伊豆大島も伊豆半島も見えるのだから、船の残骸に捕まりながら泳げば助かる可能性もあるだろう。


相模湾をひたすら進むが小田原に近づいた所で夕暮れになる、その為わざわざ陸から離れる。


夜襲の可能性も考慮してとのこと、九鬼嘉隆が信長の居室にそう言いに来たのを俺も同席して聞くと、


「うむ」


と、だけ答える信長の顔はやはり真っ青。


間違いなく船酔いだ。


口を開けばなにか出てきそう。


代わりに俺が、


「では、明朝、小田原城に海上から砲撃いたしましょう。上陸戦はこちらには不利なので」


と、九鬼嘉隆に指示を出すと信長も頷いている。


小田原城の総構えは海側にもしっかり土塁が盛られている、まさに鉄壁の要塞。


しかし、海上からの砲撃など予想していないだろう。


こちらの装備はと言えば軽く200年後を超す未来の装備なのだから。


鉄甲船にライフル砲、そして改良型フランキ砲。


夜になり俺は横になっていると火縄銃改の発砲音が何度かあった。


どうやら予想通りにかき集めた漁船で夜襲を狙ったようだが、火縄銃改の斉射により近づくことすら出来なかったようだ。


太陽がまだ水平線から出てこないが明るくなる4時頃船は動き出した。


小田原城の射程距離になる海岸線に。


流石に船に慣れたのか信長も南蛮甲冑を身にまとい甲板に立っていた。


俺は自室の戸から隠れるかのようにしながら、耐衝撃型スマートフォンで一部始終を録画しようと試みた。


この戦いは日本で初となる戦いを予見できたから。


キング・オブ・ジパング号を先頭に一列に海岸沿いを30隻の南蛮型鉄甲船が並ぶ。


約3キロメートルを一列に。


合図の花火が上がると、船員たちは砲撃の準備に取り掛かる。


織田信長が軍配を右手に持ち高々に手を挙げる。


法螺貝がけたたましく鳴り響く。


「撃て!」


それこそ小田原城に聞こえるのではないかと言うくらいの声量で、砲撃の指示を出す織田信長。


軍配は勢いよく降り下ろされると、合図の太鼓と共に


ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!

ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!

ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!

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ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!

ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!


360門の大砲が一気に煙をあげる。


第二段は準備の出来た大砲から次々と撃たれた。


ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!

ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!ドォーンー!


約一時間、早朝の砲撃は続いた。


1586年7月14日


その時歴史は動いた。


艦砲射撃による陸への攻撃、戦争の様式を一気に変えたのだ。


小田原城はと言えばあちらこちらから火の手が上がり大炎上をしているのが見えた。


俺は身震いがし立ってはいられなく、膝から崩れるが織田信長は、その様子をしっかりと目に焼き付けているようだった。



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