第116話 櫛とハーレム

櫛を買い求めて帰城すると、東御殿の広間に茶々、お初、桜子、梅子と桃子に集まってもらった。


お江は俺の後ろから首に手を廻して絞めている。苦しい。


「はい、これ皆に一つずつ」


と、櫛を渡す。


櫛は柘の木から作られている高級品で、細かな飾り細工が施されている。


茶々が代表して、


「ありがとうございます」


と、言いながら微笑んで受けとる。


気に入ってくれたのだろう。


「御主人様にしては中々可愛いの選んだじゃない」


と、お初が言う。


鋭い、選んだのはお江だ。


桜子は両手で持ち胸元に大事に抱える。


ちょっとワイルドボイッシュ梅子と桃子は髪は短め。


「え?私たち二人にも良いのですか?」


いや、むしろあげないほうが不自然な気がするのだが。


「もちろんだよ、いつも頑張っているんだし」


と、言うと。


「ありがとうございます」


と、二人は深々とお辞儀をした。


大袈裟なっとは思ったが、城主である俺が渡す、あげるものは拝領品、それなりに意味があることは後々知った。


ただ単にいつもの御礼のプレゼントのつもりなのに。


お江のは買ったときに持たせてあり、お市様にはお江から渡してもらった。


その晩、寝所にて。


「御主人様、あの櫛、お江が選んだでしょ?」


と、茶々が言う。


「え?やっぱりわかっちゃう?」


「はい、わかりますとも、御主人様にしては可愛い物ですから」


「ははははは、そっかわかっちゃったか」


「お初は気がついていないみたいですけどね、で、御主人様、梅子と桃子も側室に迎えますか?」


「え?そのつもりはなかったんだけど」


「あの二人はそのつもりですよ、私としてもあの二人とお江なら許しますが」


え?え?え?え?え~?


「お江まで?」


「御主人様、お江があんなになついてるのに離せますか?」


「いやいや、妹みたいな感じなんだけど」


「では、お江は他家に?」


「茶々が城に置けと言うなら、その、お江が年頃になればその、はい」


「わかりました。義父様(信長様)に頼みますね」


「はい、お願いします」


・・・・・・六人のハーレムっですか?良いのか?良いのか?俺!


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