第115話 買い物
町に出たついでに買い物に商家街をぶらつく。
お江があっちを見てはこっちを見てとうろちょろうろちょろしている。
「マコ~、こっち~」
と、言うと大きな店の暖簾を潜った。
中には、反物や櫛、口紅等が並んでる女性好みの店だった。
お江はそこそこ良い着物を着ているので店員も子供でも対応が良い。
俺はそれを店内の小上がりに座って見ている。
「こちらなどいかがでしょうか?とても良い品の櫛に御座います」
と、言ってお江に勧めてる店員。
「うわ~綺麗、でもね~お金持ってきてない」
「え?」
店員の表情が曇る、正直な店員だ。
「お江、欲しいなら買うけど」
と、言うとお江も店員も表情が明るくなる。
本当に正直だな。
「櫛なら、六つ頂こうか、もちろん女性用の」
「宜しいので?こちらは大変高価な物に御座いますが?」
と、比較的地味な俺を上から下を見ては値踏みをしているらしい。
まぁ、わざわざ目立たないよう地味な服装にしたから仕方がない。
「力丸、大丈夫だよね?」
俺はお金を持っていないので力丸に聞くと、
「さっき、全部出してしましたが」
「おっと、そうだったね、ツケにするわけにもいかないしね」
「申し訳ありません、どなたかわからない一見様のお客さまには流石に」
クレジットカードでもあれば良いのだがと考えると、力丸が、
「ちょっと、隣に行ってきます」
と、店を出ていくとすぐに隣にある店の番頭みたいな人を連れてくると俺に頭を下げた。
「隣の千宗易の店の番頭をしております。すぐに用立てます。」
「えっと大丈夫?」
「もちろんに御座います。殿様に貸すなど出来ることこそ名誉に御座います」
と、言う番頭の言葉に店員が驚く、
「え?殿様?え?御城主様?」
と、戸惑っている様子。
「あっ、はい、黒坂常陸守です」
「申し訳ありません。御城主様のお顔を知らぬなんて、申し訳ありません」
「謝らないでください、町に出ることなんてそうないのでわかりませんよね、櫛代は城に取りに来てもらって良いですか?」
「はい、もちろんに御座います」
櫛の購入は無事できると、
「マコ~六つも買ってどうするの?浮気?誰にあげるの?茶々姉上様にお初姉上様、で、桜の方様に、お江のでしょ?あと二つは?」
「梅子と桃子にもあげるよ、いつも頑張っているんだし」
「そっか~梅子ちゃんと桃子ちゃんもかぁ~」
「え?なにが?」
「側室にするんでしょ?お初姉上様に蹴られないと良いね」
と、ケラケラと笑っている。
「いやいや、その予定はないから」
「え?だって、梅子ちゃんと桃子ちゃんもそのつもりみたいだよ」
マジっすか?今、正室に側室二人なのに、本当にハーレムになるやん。
って、もう一つ買わなきゃ、お市様の物を忘れたほうがお初に蹴られそう。
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