第85話 トウモロコシ

平成でも地方の方言やお年寄りはトウキビ・トウムギと呼んでいるトウモロコシ。


南米が原産で、じゃが芋と同じくらいに江戸時代に日本に伝来するのかと思っていたら意外にも1579年には伝来していた。


俺が南蛮の作物を欲しいと言ったら、意外にも一番早く届いたのが、トウモロコシだった。


今から五年前になるのか?


意外にも、なんでもあるんだと改めて感心する。


今は冬、乾燥した状態で麻袋に入れられ二袋届く。


もちろん、金は払うが貨幣価値がいまいちわからない、今までは力丸に任せていたが結婚したのだから会計は茶々に任せることにした。


信長の義理娘と言う立場を利用してか、値切ろうとしていたが、やめさせた。


ここで値切ってしまっては、次の取り引きに力を入れてくれなくなりそうなので、無理な値引きはしないほうが良いと思う。


乾燥した状態のトウモロコシ、菜種油を薄くひいて鉄板に一握り入れ蓋をする。


パン、ポン、パン、パン、パン


っと、激しく鉄板の中が鳴るのを台所にいた女性人が驚いていた。


軽く揺さぶりながら鉄板が静まったところで蓋を取り皿に移して軽く塩を振る。


「さあ~出来上り、ポップコーンだよ」


と、俺が作って差し出しと直ぐに口に運んだのはお江だった。


「マコ~、美味しい」


と、喜んでいる。


お初も口に入れると、暫く黙りで口を動かしていた。


「硬いわね、変な物、食べさせないでよ」


あぁ、弾けてないコーン食べてしまったのね、そりゃあ硬いよ。


「えっと、膨らんでないやつは食べないで白く膨らんだやつだけ食べて」


「そう言う事は早く言いなさい」


と、蹴られた。


お初は暴力的だな。


「お初、仮にも義理兄、そのようなことはやめなさい」


と、茶々が怒った。


「ごめんなさい」


と、しおらしく謝るお初。


「良いから良いから、食べて食べて」


と、俺もポップコーンを口に運ぶ。


ドクペなどと贅沢は言わない、とにかく炭酸飲料が欲しい、炭酸って重曹とクエン酸で出来るのは知っているけど重曹って手にはいるのか?


あ、いや、炭酸水って自然界に無かったかな?確かあったような気がする。


自然の炭酸水に柑橘類の汁でも入れればジュース作れないかな?


と、考えてるうちにポップコーンは無くなった。


トウモロコシをポップコーンとして食べればおやつだが、主食になるように食べられなければ飢饉対策の意味が薄くなる。


トウモロコシを主食にするには、粉にして練って焼くのが一番。


桜子三姉妹に石臼で粉にして貰って試しに焼いてみた。


トルティーヤ、大好きだったんだよなぁ、ハムとチーズを入れたやつ。


チーズ、買えるのかな?ハムは作るか?


チーズって確か和名が有って貴族が昔から食べていたような気がするが、こんなことなら農業高校に行っておけば良かったかな?


農業高校で青春を謳歌して、起業しちゃって彼女まで手に入れてしまう、リア充漫画のように上手くいくとは限らなくても、タイムスリップには多いに役立つと思う。


さて、焼き上がったトルティーヤに味噌を漬けて食べてみた。


「お、これはこれでイケるかも」


と、言うと早速お江が同じようにして口に入れた。


「マコ~、美味しいよ」


お江はなんでも美味しいのではと思ってしまう。


「あら、これはなかなか美味しいわね」


と、お初と茶々も食べていた。


一袋は食用にして、一袋は種として残しておく事にする。


大津城下の農民に作らせてみよう。


トウモロコシ、冷害対策にはなれないだろうけど保存食として乾燥させたものを保存しておけば飢饉対策の作物にはなれるのではないか?


すでにある、蕎麦を山間部でも栽培して殻のまま乾燥保存、何年ぐらいもつだろうか?


腐るのか腐らないのか?


と、気になるが取りあえずは先ずは多毛作だ。


米だけに頼ってしまうのを打開しなくては。





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