第55話 茶々とスマートフォン
俺のスマートフォンは工事現場の人が好んで使うような耐衝撃型スマートフォンだ。
しかも、大容量ソーラーパネル充電機能があるモバイルバッテリーを持っている。
そのため、満タン充電とはいかないがなんとか動き続けている。
主として、カレンダーと時計としてしか使えていないが、写真の入っている思い出箱。
織田信長には使えぬものなどゴミだ!と、言われた。
確かに、電波が入らなければ使いようがない。
逆に言えば、電波が届くなら世界征服だってできる知識の箱になるのだが。
そんな耐衝撃型スマートフォンに興味津々なのが、ジリジリとにじり寄ってきて、いつの間にか肩と肩とがぶつかる距離にまで来ていた茶々だった。
「これは、スマートフォンと言って未来の道具なんだ。いろいろなことが出来る万能な器具なんだけど、この時代では電波っていうこの道具を使うための物がないから、意味が半減どころか役にたっていないんだけどね」
と、説明してみた。
「その絵はなんですか?目に映る景色をそのまま切り取った物は?」
画面のサン・フアン・バウティスタ号をまじまじと見ていた。
「これは、写真と言って景色を一瞬で記憶させることが出来るんだよ」
と、画面をスライドして何枚か見せてあげた。
それは、見せてよいものだったのか少し疑問だったが映し出されたのは、仙台の七夕の美しい飾りつけだった。
「これが、常陸様のいた時代なのですか?綺麗」
「ははは、これは七夕のお祭りだから特別かな、奥州の仙台ってとこの祭りなんだけどね」
「もっと、もっと見せてください」
と、ぎゅうぎゅう接近してくる茶々。
良い匂いがする。
女子特有の甘い香り。
ヤバい興奮してしまう。
顔が真っ赤になったのがわかったのか、額に流れ出る汗がわかったのか、鼻息が荒くなったのがわかったのか、パッと離れる茶々。
「失礼しました」
と、顔を真っ赤にして部屋を出て行った。
可愛い。
マジか~あれが嫁ってマジヤバいよ。
ない語彙力がますますなくなってしまうくらい興奮してしまったやん。
天主の外を望むためのベランダ、高覧に出て風に当たって火照ってしまった身も心も冷ました。
「御主人様、身が火照っているなら私がお相手いたしますが」
と、ぶっ飛んだことを力丸が襖の影から覗いて言っていた。
「ごふっ、ゴホゴホゴホゴホ、必要ないから」
力丸の一言で一部興奮していた体の一部分は鎮火した。
ほっ。
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