第50話 前田利家の妻
「げ、松なんだよ」
綺麗なおばさんにつっけんどに返事をする慶次。
「貴方の働き具合を見に来たのよ。利家様が毛利攻めでいないからって自由にしてないでしょうね」
二人は周りを気にすることなく話を進めていたが俺を見て一礼深々とした。
「前田利家の妻、松に御座います。勝手に失礼して申し訳ありません」
「いいえ、気にしないで下さい、私が常陸守真琴と申します。こちらこそご迷惑おかけしてませんか?鶏の鳴き声やら何やら」
庭には放し飼いの鶏、たまには豚も絞めている。
「とんでもないです。美味しい鳥料理までいただいていますのに迷惑だなんて、それに荒子に暮らしていた頃は農民とともに農作業もしていましたので、鶏などは気にはなりませんが、その、豚ですか?猪ですか?絞める時には一言あると助かります。断末魔が驚きますので」
「絞めるのは慶次の役目なんですがね、次からは一言お声かけいたします。今日はカレーを作ったので是非食べていってください」
「かれー?」
「ん~インドと言う国の食べ物を工夫して作りました」
あれ?インドって国ないよな?なんて名のだろうか?
まぁ良いか。
と、残っていたカレーライスを桜子が盛り付けると松は口に運んだ。
「なんとも言い難い匂い薬が何種類も入っている風味がいたしますが悪くないです。美味しいです」
と、言いながら盛り付けたカレーライスを全部食べた。
「お口にあって良かった」
「料理上手とは聞いていましたが、これで茶々様の胃袋を、心の紐を掴んだのですね」
「松、五月蠅い」
と、顔を真っ赤にして出ていってしまう茶々。
俺は頭をポリポリ掻いた。
これは近々答えを出さないとならないのだな。
逃げ道は許されなさそうだ。
お初達はお付きの人に付き添われて帰っていく。
慶次に護衛を命じると、既に忍の家臣を見張らせてると言った。
「慶次、主が命じてるのだから自分も行きなさい」
「松は五月蝿いな」
と、慶次も着いていった。
「常陸様、茶々様の事、考えてあげてくださいね、お市様が様子を見てきてと言うので来ましたが」
だから、今まで隣に住んでいても顔を合わせなかったのに入って来たのね。
「常陸様、そのこの料理を教えていただけませんか?」
「わかりました、桜子達が作り方覚えさせて行かせますね」
「それは助かります。今後ともよろしくお願いします」
と、屋敷を出ていった。
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