第40話 とんかつ

 実は最近、唐揚げが飽きてきた。


他の揚げ物が食べたい。


鶏ではない。


とんかつが食べたい。


衣サクサク中ジューシーとんかつ。


豚いるのかな?いなかったら猪で代用かな?


と、思いながら桜子に買いに行かせる。


桜子は俺が注文する品で一般的でない物は今井宗久に相談しに行くらしい。


豚、いました。意外だ。


南蛮貿易経由かと思いきや、日本も昔っから飼育はされていて一部では食べられているらしい。


一度廃れた物の最近は南蛮宣教師の影響もあって再び食べられていた。


イメージ的に豚は明治開国時のイメージが強いが、日本書紀、万葉集、古事記にも登場するくらい日本でも歴史は古いらしい。(史実)


豚肉美味しいし、栄養価もあるから食べなきゃ。


って、なんで生きたまま今井宗久は送ってくるかな?誰が絞めるんだよ。


また、梅子?って、流石に豚は慶次が絞めるらしい。


槍を持って屋敷の裏庭に行く慶次、槍で一突き。


裏庭から断末魔の叫びが聞こえた。


ブヒーーーーーーーーーーーーーーーー。


聞かなかったことにしよう。今はとんかつが最優先だ。


肉の塊になって台所に運ばれてきた。


捌くのも上手いのね。


卵は庭の鶏のがある。


小麦粉も石臼ですりつぶせばある。


パン粉だな。


パンがあるかと聞くと南蛮寺から分けてもらえるとのことで、寄進の金を少し置いてくるように頼んでパンを譲り受けてもらった。


パンも意外にあるんだね。


食パンのようにフワフワではない少し硬いパン。顎の力が必要そうなパン。


このパンむしろ好きなタイプの奴なんだけど、パン定期的に持ってきてもらえるよう頼んでみようかな?


パンを桃子と梅子にちぎってもらってる間に、桜子に豚肉を一口大に切ってもらう。


食べやすいように今日は一口カツにしよう。


粉々になったパン粉が出来上がった。


豚肉を小麦粉を着けて、溶き卵にくぐらせ、粉々になったパン粉を着けてもらう。


形になっていく、とんかつ。


豚肉一匹分全部とんかつになる。


うん、やりすぎたか?という肉の山が出来た。


で、唐揚げと同じように菜種油で揚げてもらう、ラード派なんだが脂身をじっくり煮込んでラードを作る手間は今回は省いた。


流石に度々、唐揚げをしているので揚げるのは問題がない。


香ばしく広がるとんかつの匂い。よだれが出てくる。


匂いに誘われたかのように浅井三姉妹が遊びに来た。


鼻が良いのか?感が良いのか?間が良いのか?


揚げたてとんかつが次々に出来上がる。


犬の絵の書かれたソースが欲しいがない。


ソースの製法を知らないので我慢するしかない。


たっぷりソースを着けたとんかつをご飯にワンバウンドさせて食べるのが好みなのだが。


今日は橙の汁に塩を溶かした塩だれにした。


揚げたてを口に運ぶ。


「うま~この衣のサクサクした食感にあふれ出る肉汁、美味い、ほらみんなも食べなよ」


と、浅井三姉妹に力丸、慶次、宗矩にも勧める。もちろん桜子達にも。


「美味い、なにこれ、変態は美味なるものを作るの天才だわね」


なんでお初の言葉は棘があるかな?


「美味しい、美味しいよ~マコ~」


と、喜んで食べるお江は可愛い。


茶々は静かに静かに次から次に口に運んでいた。


力丸達にも好評。


やっぱり意外に戦国時代の食材で作れるんだなと改めて感心した。


一匹の豚はあっという間に胃の中に納まった。


「豚も庭に何匹か買いましょう」


と、桜子が言う。


「うん、庭にはいらないから、その都度、買い求めようね」


豚、意外に頭いいし人にも懐くから飼ってしまうと食べられなさそう。


映画や漫画で飼っている豚を食べるの見たことあるけど、うん、あれ泣いたから。


ソースどうにかならないかな?


野菜やら果物煮詰めてこせばいいんだっけ?ん~、俺のスマホ使えれば良いのに。


カレンダーと時計にしかならないしな。


南蛮宣教師あたりに似たようなの作れる人いないかな?


あ!八丁味噌・・・・・・名古屋飯か~・・・・・・茨城舌の俺には・・・・・・。



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