第23話 征夷大将軍・関白・太政大臣

「信長様は征夷大将軍だか関白だかにはならないんですか?未来の説では、本能寺の変の翌日に返答するって説がありましたが」


「帝から征夷大将軍、関白、太政大臣へ任じたいと言われてはいるが帝から貰う位などに興味はない」


そう言って自ら立てたお茶を一口に飲み干した。


「日本を早く統一したい、戦いのない国にしたいなら受けるべきです。秀吉は関白になって惣無事令と言う法度を勅命で出すことで天下を統一しました。徳川家康は秀吉の死後、征夷大将軍となり江戸に幕府を開いて統治しました。だから、この二つの官職って統治するための大義名分になって地方の大名を屈服させやすくなるんですよね」


「確かに、右近衛大将に任じられたとき奥州の大名がすり寄ってきたな」


と、信長は懐からビードロの瓶を出して中身を数粒取り出してボリボリと食べた。


「ん、手を出せ」


そういうので手を出すと、小さな粒が数粒手に乗る。


口に含むと金平糖だった。


「あ、金平糖、懐かしいな~」


「で、常陸はわしにもそれになれというのか?」


話、続けるのね。


「はい、征夷大将軍がよろしいかと」


「なぜじゃ?」


「武門の頭領にふさわしく天下布武の織田信長には一番合います。それに、前例的に世襲も一般的、信忠様にいずれ譲るのにも都合が良いかと思います。関白は帝から政治を任されているのに対して、征夷大将軍は幕府として武家をまとめるのにも大義名分になります」


「で、あるか」


ボリボリと金平糖を食べる織田信長の姿は可愛いオヤジだった。


「なるか、征夷大将軍」


「ぜひなってください、安土に幕府を開くのがよろしいかと思います」


「征夷大将軍になってその惣無事令とやらを出す、すぐにその法度の内容をまとめよ」


「はい、ただ、俺はそんなに詳しくはないので秀吉が出したものとは同じものはできませんよ」


「ふっ、構わぬ、常陸の案を見て考察して出す、細かなことは常陸が気にすることではない」


そう言って、立ち上がり茶室を出て言った。


あれ?俺が関白を勧めたら関白になったのかな?


でも、イメージ的には征夷大将軍のが合うから良いか。


惣無事令どんなんだったか思い出さなきゃ。





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