第5話 織田信長
ご飯が山盛りの朝ご飯なのか昼ご飯なのかわからないものが出されて食べた。
パサパサして硬い玄米ご飯。
寝起きではあったが三日ぶりらしい飯は今まで食べたことのないほど入った。
そして、学ランに着替えると御成御殿から渡り廊下で連結している天主に案内されると最上階まで登った。
中には先ほどのダンディーなオジサンが立っている。
二人っきり。
「来たか、さて、貴様は何者だ?」
何者と聞かれても返答に困り一拍置いてしまうと、ダンディーなオジサンが名乗った。
「わしは、織田信長じゃ」
織田信長?のぶなが・・・・・・キター!信成じゃない。
とにかく名前だけは名乗ろう。
「黒坂真琴と言います」
「茨城の暴れ馬ではないのか?」
「あ、まあーはい」
「申せ、貴様は何者だ?」
「何者と言われても困ります、あの貴方は本当にあの織田信長?」
「どのだ?」
そりゃそうだよな、本人にあなたは織田信長か?って聞いてもわからないよな。
俺、本当に安土桃山時代にタイムスリップしたのか?
パンッ
持っていた扇子を叩いた。
気短過ぎるだろ。
「あの、私はこの国の礼儀作法など一切、知りません。無礼は許してください」
先ずは謝っておこう、でないと殺されそう。
「許す、いつの頃から来た?正直に全部話せ」
ん?いつの頃?どこからではなくて?知っているのか?正直に言おう。
「私は、1999年平成11年11月29日生まれ黒坂真琴17歳、信じてもらえないでしょうが、400年ほど後に生まれた日本国民」
と、言葉が止まった。
信じて貰えるわけないよな。
「続けよ」
ん?
「続けよ、と、言われても困りますが、そうですね、出身は茨城県・・・・・・・あ、いや、常陸の国って言ったほうが良いのかな?とにかく常陸の国、鹿島神宮近くで生まれ育ちました。一応ですが、鹿島神道流と陰陽力を身に着けております」
「塚原卜伝か?知っておるぞ、続けよ」
だから、続けよって困るんだよな。
「あっと、その、何を言えば良いのかわからないのですが、とにかく、私は、お寺の地下道を通ってきたら、あの場に出ちゃっただけで、明智光秀とは何の関係もないですから、私は帰りたい」
「ふはははははは、そうかそうか、帰りたいか」
「はい、帰りたい、未来に、元の世界に」
バン、バン、バン
と、三回閉じた扇子を左手のひらで叩いた。
すると、襖が開けられ先ほどの美少年が布をかぶせた何かをお盆の上に乗せ持って入ってきた。
「見させてもらった」
「はい?」
「貴様の荷物じゃ」
と、かぶせてあった布がとられた。
「あっ!俺のリュック」
布の中には俺が修学旅行で身に着けていたリュックサックだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます