酔ひどれ日記

卒業設計提出期限

　たうたう卒業設計の圖面及び模型の提出日前日となつたにも關はらず、提出の目處が立つてゐない。

　二年生のH.K氏が手傳ひに來てくれた。とても可愛い後輩で、雰圍氣や仕草が私に似てゐるやうな氣がしてついつい面倒を見たくなる。今夜は海鮮丼を馳走した。

　夜通し作業に附き合つてくれて、翌朝の作業完了後にグウグウといびきをかきながら寢てゐる彼を見て、私の同期達が

「彼はとても一生懸命に作業をしてゐた。頑張つてゐる姿は非常に好感が持てる。とてもよい後輩だね」と云つてくれた程だ。大川師團の中には、億劫がつて最初から手傳つてくれる氣のない者、音沙汰もない者もゐるが、彼は人間として素晴らしく尊敬に値する。私の爲に頑張つてくれたことが嬉しいのである。

　一部の薄情な恩知らず供と異なり、一生懸命に手傳つてくれたすべての友人及び後輩たちには此の場で感謝したい。彼らがゐなければ提出は不可能であつた。

　とは云ふものの、模型の出來は滿足出來るレベルではない。材料費に約二萬圓もの大金を費やしたが、時間が足らず其れ等材料を効果的に使ひ切ることが出來ず、殆どを無駄にした。自己滿足にもならない。ドレッドノート級の大きな模型であるので、ハタから見れば凄いやうだが實際は只の粗大ゴミである。

　何はともあれ、ひと段落ついたので生活にも餘裕が出てくるだらう。