後始末(アフターサービス)

 係長がその人物に呼ばれたのは、ロムから報告があったその日だった。

「ふむ、結局テロや暗殺を斡旋してたヤツはいまだに謎にゃッてことにゃか」

「はあ、そうなりますな」

と、頭をかきながら返す係長の前には、捜査三課の枝川という猫だった。

「それで?」

「それでと言うと?」

「あんたが、オレを呼ぶにゃんて、じゃにゃいんだろ?」

「まあ、そうだけど」

と、係長が言うと、枝川はウンザリした風に頭を振って、話を促す。

「いやね、例のリストの出ところがね、多分だけど警察この内部なかなんだよね、調べてみるに」

「ほう、つまり俺に、調べろってことにゃんか?」

と、枝川が返すと、係長もうなずく。

「そういうことになりますわな。これは、私のなんだけどね、背後に大きな闇を感じるんだよ」

「確かにたかだか街のゴロツキがASにゃんかもってにゃいだろうしにゃ」

「うん、私が言うのもなんだけど、気を付けて」

「そちらこそにゃ」




 係長が自分の席に帰ると、亜季と鑑識の眼鏡少女がモシャモシャキャッキャしていた。

「うん、どうしたんだい?」

「あ、係長、これ見てくださいよ!」

と、うながされたので、彼は二人が見ているモノを見ることにした。

「ほう、ウォールナッツバーか」

「はい、出張でさきの土産おみあげですって」

「うむ、係長のとこの娘さんにもどうと思ってな」

「ありがたいね」

 亜季は、びっくりしたような聞く。

「係長、娘さんいたのでありますか?」

「いや、従姉の娘たちを預かってるのさ、歳の離れた姉妹でね」

「へえ……」

 亜季はもっと聞きたかったが、なにか訳ありらしいので、止めた。

「ああ、それにしても美味しいなあ」

「リッチな感じですよねえ」

「ははは、私が持っていく分残しといてくれよ」

 二人のキャッキャした雰囲気に、係長は久々に穏やかな気持ちになるのだった。

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