擬人化人形と魔法使い
和泉しんご
【擬人化人形と魔法使いの物語】
擬人化人形。ある日突然、自分の人形が動き出して戦いを申し込んでくる。
その戦いを申し込まれた人は逃げも隠れも出来ない状態になる。断ると殺され。申し込み
を受けるとその人形と戦わなければ鳴らない。たとえ断ったとして、逃げても即に見つけ
られ殺される。これだけ命の危険がある。だから人形に勝ったときには一つだけ、願いを
かなえてもらえる事ができる。こんな良い取引はどこにもない。この世界では殺し合いが
日常茶飯事だ。そんな中、この世界の事を知らない一人の少年が居た。それが僕。
「泡沫未練だ」
僕は一人の少女・・・いや、殺人人形にそう言う。
「そう、ですか・・・。それでははじめましょう。殺し合いを」
人形は名乗らずに攻め始めてきた。
初っ端から剣っ!外国の人形こわっ!ってか、剣で戦わないと逆におかしいか。
「そんな長い剣でか、女の子がそんなのもってたら避けられるであろうなっ!」
僕は彼女が斜めに振り落とした剣をよける。
「本当に擬人化人形には驚かされるな」
物凄い身体能力に綺麗な剣技、剣道をやっていた僕も少し読めない動きだな。
ここは外国。僕の出身地は日本だ。どうして外国に来たかというと、日本ではこんなスリ
ルを味わえないからだ。日本では殺し合いが出来ない。警備がものすごくがっちりしてい
るから。外国はまだ人形との戦争が続いている。まぁ、日本は武士以外での人形が日本人
形だから。『結構心霊系の話になるなこれ』まぁ、はっきり言うとポルターガイスト現象
が多発しているんだよ。もう幽霊とか苦手な僕にとって最悪な国だよ。けど、怖いものっ
て見たくないのに見てしまうのだよね。この気持ちわかる?好奇心とかって、
「うわっ!!」
僕は心臓の辺りを手の平で押さえる。呼吸も結構激しい。
「あぶなー、危機一髪だった」
急に二刀流で襲って来るとか、マジこいつぱねぇわ。
「手結界!」
僕は手の平を相手に見せて腕をクロスさせ、結界を作った。
そして、響き渡る稲妻の音。
『そういや、ここは学校だったな。真夜中に侵入して、人形と戦っているとばれたら退学
だな』実は高校だけを外国にしたのだった。理由はスリルがほしかったから。
けどそのスリル以上に今は楽しい。
「隙ありです!」
と人形はつぶやき剣を振り落とす。それを僕は腕で守った。
「本当に結界って体にも使えるのか」
僕は腕に結界を集中させていた。そのおかげで腕は真っ二つにならずに済んだ。
僕が使ったのはいわゆる魔法と言うものだ。
「日本人が魔法をっ!?」
人形は驚いていた。そりゃそうだ。日本は平和主義だ。だから魔術などは入ってこない。
だから僕も日本にいる間は魔法を知らなかった。魔法などを覚えたのはつい最近。だから
少し使い方がはっきりしていないのだ。
「封印!」
僕は右腕を伸ばして、人形に手の平を向けて言う。刹那、
「体が動かない。これは封印魔法かっ!」
人形の彼女は僕が使った魔法で体が動かせられない状態になった。
「出来ればもう降参してほしいのだけど。たとえ人形でも、君は女の子だ。傷は付けられ
ない」
と言うが、実は結界を使った時に彼女に電撃を食らわせていたのだが、これは内緒にして
おこう。
「はぁー。確かにこのままでは戦えないね。チェックメイトよ、負けました」
人形はそう言い、武器の姿を消した。
「解除」
僕は彼女に付けていた封印魔法を解除する。
「本当に私が負けるとか、ありえないわ」
僕は彼女に近づき、
「結構自信家なんだな、そういうのは悪くない」
と言い、彼女に手を差し伸べる。
「あぁ、ありがとう」
彼女は僕の手をつかみ、立つ。
「そういえば、あなた本当に日本人?」
彼女が顔をかしげる。
「当たりまえだ」
腕を組み、そう言う。だが彼女はずっとこちらをうかがってくる。
「嘘じゃないぞ」
そう言い、僕は―
「さて、君は勝ったら僕の条件を聞いてくれるのだな?」
僕はそう言うと、
「煮るなり焼くなり、自由にどうぞ」
と彼女は言うが、
「そんなことしないよ」
そう言うと彼女が少し顔を赤らめて、
「まさか!夜のベットにっ!」
こいつ、何言ってんだ?
「違うし君でそんなことしない」
僕がそう言うと、彼女はため息をつく。
「はー、よかった」
「いや、よくねーよ」
変な事で疑われていた僕は色々と傷ついたぞ。
「それで、条件は何?」
彼女は再び顔をかしげる。
「条件は、君が僕のパートナーになることだ」
と言った。そしたら彼女は、
「こんな弱い私がお役に立てるなら」
弱いって、さっきの戦いで僕を殺す寸前だったじゃないか!
「とりあえずよろしくな」
僕は手を出す。そして、彼女は僕の手をつかむ。
「えぇ、こちらこそ」
そういえば、
「君の名前は?」
僕が名前を聞くと、
「名前は無いよ。良かったら、なずけ親になってください」
と頭を下げる。
「わかった。君の名前は穂紗希だ。それに僕の名前は泡沫未練、これからもよろしくな穂
紗希」
未練はニコッと笑う。
「はいっ!これからもよろしくお願いします!」
と穂紗希も笑う。
そして、人形・・・いや、元命のない擬人化人形と僕はパートナー契約を結んだ。
これから始まる魔法使いの人間と擬人化人形の物語。
一応言っとくが、僕は今年で高校生だ。穂紗希とであったのはこの国に来た初日の事だっ
た。一人真夜中の部屋で寝ていると突然になぞの光に部屋が包ま、収まったとたんに穂紗
希が居た。そして、勝負になった。
で、今。僕はなぜか穂紗希と高校に来ていた。
「けど、本当に許可もらったのか穂紗希?」
僕は制服を着ている穂紗希に言う。
「はい、許可をしっかりともらいました!」
と手を上げる。なぜ僕がこんなに心配になっているかというと、一応彼女は元々殺人が得
意な擬人化人形だ。命のない人形が急に動き出すという。僕もあの夜に一人部屋で人形に
話しかけていた。少しさびしかったのかな?僕はその人形を擬人化させていた。刹那、光
に包まれあーやこーやと。
「まっ、許可とってなかったら今頃制服とこの校舎には入れていないはずか」
それより、僕の彼女はパートナーになったのは良いけど、何をすればいいのかな?
「そういえば未練さん」
「未練で良いよ」
僕がそう言い、一度咳をして、
「はい、けどさんを付けないと違和感があるのでさんを付けさせていただきます」
出来た子だぁ。
「それでは未練さん。少しだけついて来てください」
と彼女は言う。僕はこの時、記憶の奥底から一つの記憶を頭に浮かべた。今から行われる
のはたぶん契約の試験だろう。殺人人形は自分たちの世界を持っている。だから、今から
異世界に行って契約の試験を受ける。たぶんこれだな。
「あぁ」
僕は彼女についていき、知らぬ間にもう異世界に居た。
「いつの間に世界が変わった!?」
そして、穂紗希はこっちを向き、
「凄いでしょう」
と上目を使って言ってくる。少しドキッとした。
「えっ、えっとー。今からすることは確か契約の試験だよね?」
そして、彼女はうなずく。
「そうです。試験長は強いですから気をつけてください」
穂紗希は声のトーンを変えて、前を向きながら言う。
そして僕は、
「強い事は承知のうえだ!」
とガッツポーズをしながら言った。そして彼女が少し驚いた表情をした。
「その勢いです!」
穂紗希は両腕でガッツポーズをする。本当は少し怖いけど、たぶん大丈夫。僕ならいける。
「着きました。入ったら警戒してください。私も一緒に戦えますが、完全には守れません。
それに入ったら、試験開始です」
と物凄く大きい建物を見ながら言う。
「あぁ、わかった。それに君を守るのは僕だ。そこのところ、男気見せさせてくれや」
未練はニコッと笑う。
僕はもう恐怖と緊張とうずうず感でおかしくなりかけている。さっさと終らせようか。
「それじゃあ、行くぞっ!」
と僕が走り出したと同時に、
「はいっ!」
彼女も走り出す。
「あっ、ちょっと待ってください!」
急に穂紗希が未練を止める。てか、強引に止められた。
「ぐへっ!・・・止める時は服を引っ張らなくても・・・・・・」
そして、彼女は僕に剣を渡してきた。
「これを持っていてください。あなたの戦い方からすると、だいたいが手で戦っています。
この場でミスして手を失ってもらわれると困ります」
僕はそっと剣を受け取る。
「なんでそこまで僕の事を?」
そう僕が聞くと、
「パートナーですから」
と顔を傾げて笑う。その姿はキラキラと輝いていた。
「それでは行きましょうか。未練さん」
僕たち二人は試験場に体を向ける。
「あぁ、行こうっ!」
二人は再び走り出し、試験場に入って行った。
そういや、なぜ彼女はパートナーになってもフード付きのコートを脱がないんだ?顔は見
せないのに。
「それはですね、パートナー契約の試験前だからですよ」
心を読んだ!???
「なぜ試験前でもだめなんだ?」
僕がそう彼女に聞く。
「二人が殺された時に未練を少しでも小さくするためですよ。さて、試験場のドア前です
よ。用意してください」
と彼女に言われ、話はあっさりと終った。
「あぁ、もう用意は出来ている」
だけど、足が出ない。
「緊張していますか?」
穂紗希は少し手を震わせながら言う。
「もちろん、これほどにもない振るえだよ。足が出ないや」
刹那彼女が震えた手を僕の震えた手をやさしくつかむ。
「大丈夫です。今あなた方が集中しているのは私とつないでいる手ですから」
とニコッと笑う。正直ドキッとした。
「あぁ、それじゃ、行こう」
そして、僕と穂紗希はドアに手を触れて勢い良く押して開けた。
「静かだな」
部屋は広くて少し暗い。不気味な所だった。
「油断しないでください。真上に敵の気配がします」
僕も何かを感じていた。さっきから真上の方から僕たちに対する殺気が物凄く感じられる。
これは油断したら即あの世行きだな。
「行くぞ、このままここで相手を待つ野はごめんだ」
僕は一度穂紗希から手を離し、剣を構える。
「はい。けど、私たち今物凄く危険な状態ですよ」
未練はその理由がわからなかった。
「どうして?」
刹那、物凄く感じる殺気が色々と物語っていた。そして、ある事が僕の脳裏を過ぎる。
「まっ、まさか」
僕は顔を真っ青にして後ろを振り返る。
「そうです。これは少人数じゃあありません。大群で攻めてきます」
未練は声も出なかった。その敵の多さに、絶望的な瞬間に。
「どうします。もう引き返せません。このまま進んで勝ちを取るか、このままここにいて
死ぬかです。けど、もうあなた方は決まっているのですよね。見せてください、あなたの
本気を」
彼女にそういわれた時、僕は少し笑った。
「本当だな、このまま進むぜ。ここで諦めたら未練が物凄く残ってしまうからな」
僕は剣を構える。
「それでこそあなたです」
僕はニコッと笑い、
「上等だ!かかって来い!」
そして、二人に向かって殺人人形(擬人化人形)が襲ってきた。
「このまま突っ切って階段まで行くぞ!」
未練は襲ってくる人形を倒しながら言う。
「はいっ!どこまでも着いていきます!」
そして、未練は片手に剣を持ち、腕を交差させ、
「手結界!」
結界を張って前へと進んで行った。
このままではまずい。敵が多すぎる。これはあの方法しかない。
「穂紗希!」
僕は穂紗希の名前を呼んだ。
「どうしたのですか!?」
未練は一度息を飲んで言う。
「僕を置いて先に行け!」
そう言った瞬間僕は、
「火剣!」
剣専用魔法を使い、剣に火柱を立たせる。そして人形を燃やしていく。
「なぜですか!」
彼女はそう聞いてくる。
「このままでは二人同時に殺されてしまう。だから君だけでも最上階まで走って行ってく
れ!」
その時、私にはそんな勇気がなかった。彼にそう言われた時足が震えて動けなかった。
「速く!このままでは二人とも死んでしまうぞ!」
私が一人でそんな事出来るわけがない!
「おまえは一人じゃないんだ!僕の目を見ろ!これがおまえのパートナーの証だ!」
未練の目は私の手に付けられた模様と同じものが写っていた。
「だから、信頼してくれ!僕は君の永遠のパートナーだ!」
刹那、私の全身の震えが止まった。
「分かりました。絶対に死なないでください」
と私は言い残し、階段の方に向かって走っていった。
「何かあったら大声で叫んでください!」
穂紗希は階段を目の前にして、振り返らずにそう言う。
「そんな事、出来るわけがない。男が女に頼って良いものとかがあるだろう。本当におか
しい奴だな。おぉよ!」
僕は嘘をついた。そして、彼女が階段を上がっていくところを見届けた。
「本当に大丈夫かな」
と私はつぶやき、階段の真ん中あたりで彼を見ると、彼はウィンクをした。
そして私は再び階段を上がって行った。
上がって行った先々にも敵は多数居たが、皆一階に居る未練を狙っていた。
「もう少しの我慢です。耐えてください、未練さん」
私は今出る体力を全て足に使った。長く感じてくる階段ももうすぐ終わり。
試験合格は最上階に行く事。ただそれだけ。
「もうあいつ最上階に行ったかな」
「彼はまだ耐えているかな」
二人はそう思いながら、戦い続ける。
「「必ず行けるっ!はぁぁぁ!!!!!」」
二人は今ある体の力を全て使い切った。そして、穂紗希は最上階に到達し、一回に居た人
形は粉々になって消えていった。
「やったよ、これで良いのだよね」
私は一度地面に座り込み、一息をついてまた立ち上がって階段の手すりにしがみつきなが
ら一階まで降りる。
「未練さんの所に行かなきゃ、速く、速くっ!」
私はそう自分に言い聞かせ、階段を一段一段と下がっていく。この短い戦いの間だけでも
長く感じられた戦いだった。
そして、やっと一階にたどり着き、顔を上げると。
「はっ・・・未練さんっ!!」
私は最後の体力を振り絞って未練さんの所まで全力疾走した。
「未練さんっ!」
穂紗希は未練の手前で倒れた。彼女は未練の方に手を乗せていた。
その後、二人は病院に運ばれた。
そして、僕と感情を持った擬人化人形との契約が成立した。そして、二人は永遠のパート
ナーとされた。
その後、彼らは退院し、また冒険をする事にした。
「行くぞ、穂紗希」
そして、彼女はとびっきりの笑顔で、
「はいっ!どこまでも着いていきます!」
この先何があるか解らない。そんなの当たりまえだ。むしろ解らない方が楽しい。
行く先々にもいろんな敵と出会うかもしれない。だけど、僕たち二人がそろえば最強だ。
これから始まる、僕たちの物語。くたばるまで楽しんでやる。
未練はそう心に誓った。
そして、二人は病院から離れ、国の上の方に向かっていた。
「そういえば、契約も完了したし、フードとコートを脱いだら」
僕がそう言うと、
「脱ぐ!?未練さんそんないやらしい事を」
と言いながら少し距離をとった穂紗希。
「君は想像力豊かなんだね」
僕がそう言っても、
「まぁあ、未練さんがそこまで言うなら―」
「あぁぁ!!!やめろーー!!!!!!お前ここで脱ごうとしたな!しかも服ごと!」
と僕は彼女の手をつかんで止める。
「どうしてですか?あなた様が脱げとおっしゃったじゃないですか」
僕の呼び方を統一しろよ。けど、本当に危なかった。白い肌が見えかけていた。見なかっ
た事にしよう。
「とりあえず、今はコートを脱いだらどうだ?」
僕がそう言うと、
「承知しました」
といってコートを脱ぐと、
「何?おまえどこかのお嬢様かよっ!」
やばい、僕も彼女の呼び方を統一しないと。
そして、コートを脱いだ彼女は、ドレスみたいな服を着ていて髪は金髪で瞳は青色だった。
ドレスは太ももの半分まで来ていた。
「よくその服装であんな戦いが出来たものだな」
コートの中にドレスを着ていて、物凄く動きにくそう。
「それが以外と動きやすいのですよ」
僕は少し苦笑いをしながら、
「あっそうなん」
なぜか関西弁で対応してしまった。刹那、僕は穂紗希の後ろに物凄い殺気を放っている黒
い人の形をした奴が居る事が確認できた。そして、剣らしき物を出して、
「穂紗希!」
僕は彼女を抱き寄せて黒い色の物体の方に背を向けた。その時、彼女も気ずいた。
そして、黒い物体から屋らしきものが飛んできた刹那、
「手結界!」
僕は結界を出して身を守った。
剣だけじゃなく矢まで使ってきたか、
「あっ、あのー、このままだと私も動けないのですが」
僕はずっと彼女を抱きっぱなしだった。そして、彼女は顔を赤らめる。
「あっ、ごめん」
僕はゆっくりと手を離す。
「穂紗希、これは少しややこしいかもな」
未練は敵の物体について少し知っていた。
「まさか、あの試験場に居た人形がまだ襲ってくるとは、想像もしていなかったな」
けど、なぜあそこに居た人形がまた襲ってきたのだろうか、僕は少し考えた。もしかする
と挑戦上でもあるかと思った。人形使い、現在僕がなっている人形と契約をした人のこと。
その人形遣いは壊れかけている人形なら何だって使える。
「どうやら、向こうの人形は宣戦布告してくるとは思っていなかった。その勝負受けて立
つ!」
と言うと人形は崩れ落ち、その人形の残骸から手紙みたいなものが出てきた。
「未練さん、宣戦布告って誰が?」
今の所解らない、これから探さないといけないかもな。
「今はわからない」
僕はそう穂紗希に言い、人形の残骸から手紙を取る。
「どうやら、僕たちのラスボスはすぐ近くにあり、らしいな」
手紙を見ると、
「何も書かれていない?」
僕は目を大きく開いて言う。
「そうだ、その手紙はおとりだ。さぁ、今戦ってもらおう」
僕たち二人の目の前に急に姿を現したのは者凄く中二チックな服装をした若い男性だった。
「穂紗希」
未練は穂紗希の名前を真剣なトーンで呼んだ。
「はい」
そして、僕が言ったのは、
「こういう変質人はかまわない方が見のためだ。さぁ、冒険の続きをするか」
僕はその変質人に背を向けて歩きはじめた刹那、
「ファイヤーバースト!」
この魔法は外国の魔法か、日本の魔法に勝てるわけがない。
そして、二人に襲い掛かってくる火の玉。そして、
「手結界!」
僕は結界を使い、火の玉を消し去った。
「少しぐらいやる気になったか?」
彼はそう言う。
「愚問だな、最初から受けるつもりだよ!」
僕は穂紗希にもらった剣を出し、構える。それに続き穂紗希も剣を構える。
「どう攻めますか?未練さん」
彼は一人だが・・・一人?おかしい、彼は人形使いなはず。もしかすると、
「これは少し手間が掛かけそうな予感がしてきた」
未練がそう言うと、穂紗希は顔をかしげる。
そして、二人は作戦無しで一度攻めに行く事にした。
「火剣!」
熱く燃える炎の剣を僕は敵に振り落とす。
「結界」
あっさりと結界でガードされてしまった。けど、この時に一つだけ気づいたことがあった。
「穂紗希!」
僕は彼女を呼んで、手招きをした。
「どうしたんですか?」
彼女がそう聞いてきた瞬間に小さい声で言う。
そして、僕は穂紗希に作戦の一部を言い、剣を構えて攻めに入った。
「いいか穂紗希!」
僕は彼女の返事を少し待つ。
「はいっ!準備オーケェーです!」
そして、
「それじゃあ、攻撃にかかるぞ!」
未練はわざと声を大きくし、攻めに入る。
「そんなに情報を漏らしていたら守られる事ぐらいわかれ!」
そして、僕は思う。
『だまされていやがる。よしっ!この調子だ』
穂紗希は僕もわからない所に息を潜めていた。
そして、僕は剣を振って守り、敵に近づいて行く。そして、走りながら剣を構えて、今自
分が使えるスキルを心の中で唱える。刹那、剣が眩しく光りだす。
「この技を出せばこの勝負はこっちのものだ!」
僕はそう言いはる。そして、敵を倒しにかかる。
「結界!」
敵は結界を使い、防御した。けど、奴は自分の技をしっかりと使えないバカだ。
そして、未練と敵の結界が距離を縮ませていく。
「はぁぁぁぁ!!!」
そして、僕は結界に当たる直前に剣を投げて、その勢いで結界から離れる。そして、後ろ
から穂紗希が剣を構えて出てくる。前には僕と剣。後ろには剣を持った穂紗希。
敵はこのはさみ打ちされている事に気づいていない様子。
『行ける!』
と思った刹那、
「ぐはっ!」
僕の腹に何か鋭い物が刺さった。それは、
『ナイフだ!』
それを見ていた穂紗希は思いっきり剣を振り落とした。そして、その戦いは幕を閉じた。
敵は剣で切られた瞬間に粉々になって消えていった。
「未練さんっ!」
彼女は走って僕の方にやってくるが、僕はほとんど意識がない。だから、何も答えられな
いし体を動かす事もできない。こんな屈辱、今まで経験した事がない。(嘘だが)
そして、僕は意識を失っていった。
僕は意思を失い。なぜか見知らぬ世界に来ていた。
「やっと会えたわね。未練さん」
聞き覚えのない声がどこからと聞こえてくる。
「本当に目覚めが悪いね。それほどの傷を負ったのかしら。本当にあの人形使いは傍迷惑
な人ね」
と誰かの声が聞こえてくる。
「うぅっ!」
僕は目を覚まし、起き上がる。
「やっと目を覚ましたわね」
未練は見知らぬ声の主を探す。
「誰ですか?」
僕はそう言いながら横を見ると、一人の少女が居た。
「私はあなたの精霊です」
唐突に信じがたい事を言い始めたこの子!?
「精霊って?」
精霊精霊・・・思い出した。
確か、人形使いと魔法使いだけに付く精霊の事か。
「あなたは解っていると思っていたのに、精霊の説明のところから話さないといけないか
しら」
僕はもうわかっているから大丈夫だよな。
「説明は大丈夫だと思います。多分」
未練は起き上がり、座った状態になる。
「寝ながらでも良かったのよ」
精霊はそう言う。
「いや、大丈夫。それで僕に何か用ですか?」
そう言うと、精霊の彼女はため息をつく。
「せめて自己紹介をさせてくれないかしら」
あっ、忘れていた。
「あなたって、以外とおっちょこちょいな部分もあるのね」
僕は後頭部に手を当て、
「いやーそうですねー」
未練はこの時、自分がどう言ったら良いのか、なぜか良くわからなかった。
「なぜ照れたのかは置いておいて、私の名前はシルフィヤよ。よろしく」
僕はあわてて頭を下げる。
「よっ!よろしくお願いします!」
これは僕も自己紹介をした方が良いのかな?
「よろしくね」
彼女はニコッと笑う。
「僕の名前は―」
「泡沫未練。人形使いと日本魔法の使い手。本当に日本魔法って、難しいのね。あなたが
出す魔法を制御するのは全て私だからいつも驚かされているよ」
まぁ、自分の精霊だからそのぐらい知っておかなきゃいけないよね。
「あっ、それとあなたの私生活は邪魔しないから」
精霊の彼女はそう言う。そして、僕は、
「はい?」
まったく内容が頭に入ってこなかった。
「だから、精霊は人の私生活を覗けないのよ、そちらの状況を見れるのは魔法を使う瞬間
とあなたが命の危険にさらされている時だけ。だから、夜のお楽しみも思いぞんぶんにや
りなさい」
結論、まったく理解できない。最後の部分は。
「とっ、とりあえず僕はなぜここに居るんだ?」
精霊の彼女は椅子を出し、その椅子に座って説明してくれる。
「あなたが死にかけているか調べるために意識を全て頭に集中させただけ。簡単に言うと
あなたは魂の塊になって、じゃなくてオーブになって自分自身の頭にきている。本当に簡
単に言うと、頭の中に部屋があってあなたがオーブとなってその部屋に訪れているという
事です」
少し理解するのに時間がかかりそう。
「そうなのか・・・って、死にかけたの!?」
僕は精霊の方に顔を向ける。
「じゃなきゃ、ここに来て私が治療する事も無いし君とも出会っていないと思うわ」
そして、精霊の彼女はいいつの間にか出していた本を読んでいた。
「けど、もう行ってあげないとお人形さんがかわいそうよ、女の子を泣かせてはいけませ
んよ。さぁ、行ってあげてください」
と精霊の彼女が行った刹那、僕は眩しい光に包まれた。そして、僕は目を覚ました。
まぶたを開けると横にないている彼女がいるのが確認できる。
「そっか、僕はナイフで刺されたのか」
未練はそうつぶやき、起き上がる。
穂紗希は僕が意識を失っている間ずっと膝枕をしながら治療して起きるのを待っていてく
れたようだ。あの精霊によると。光に包まれる瞬間に教えてくれた。
「悪い、本当に心配をかけたな」
穂紗希は腕を広げて思いっきり未練に抱きつく。
「本当にだよっ!本当に・・・本当に・・・・心配したんだからねっ!」
と涙を次々と零していく穂紗希。僕はいつの間にか彼女の事を心の中でも穂紗希というよ
うになっていた。僕は穂紗希を完全に信頼している事がわかる。
「本当に悪かったな」
未練は右腕で穂紗希を抱いて、左手で頭をなでた。
この時僕は、彼女の震えがやけに強いと思った。そして、僕は思う。
『彼女は何か大切なものをなくした擬人化人形だと』
そして、僕は彼女を連れて待ちの宿に泊まる事にした。一応穂紗希にもプライバシーとい
うものもある。だから僕は別部屋にした。
「本当にこの傷、ナイフのかな?」
僕が起きた頃にはナイフが無くなっており、本当に刺さったのかと疑っていた。
そして、僕は何度も傷を見ていたら、誰かがドアをノックした。
「はーい」
と僕は少し控えめに返事をする。
「すみません、穂紗希です」
穂紗希?
「どうしたんだこんな時間に」
と僕はドアを開けてから言う。
「すみません。こんな夜遅くに、少しさびしくて」
未練はドアを少し大きめに開いて当選棒になった自分を少し横に移動して穂紗希を中に入
れた。
「まぁ、とりあえず入って」
廊下で立ち話なんてしていたら迷惑だし、穂紗希も足が疲れるだろう。
そして、パジャマ姿に身をつつみ、ポニーテールで枕を抱いた金髪の穂紗希は部屋に入る。
「とりあえずどこか適当に座っていてくれ」
と穂紗希に言う。
「あっ、はい」
穂紗希はベットに座る。そして、なぜか枕をっ僕が寝るときに使う枕の横に置く。
僕はそれを横目で見て、お茶の用意をしていた。
「急にどうしたんだ?」
未練はお湯を温めながらそう言う。
「少しお話したくて、だめですか?」
僕は穂紗希を方を少し見ると何度か見返してしまった。こいつの上目使いがくそかわいか
った。それを見て僕はびっくりしてしまい、まだ未開封のお茶の粉を落とす。
「いや、大丈夫だよ」
そして、僕はインスタントのお茶の粉の袋を拾う。
「とりあえず、今お茶を入れるから少し待ってて」
僕がそう言うと、
「あっ!おかまいなく」
と彼女は言う。もうお茶を作り始めているからもう引き返せないのだよね、粉には。
まぁ、今の葉完全に断ったわけではないから出しても良いわけだ。
穂紗希は少し緊張している様子だった。
『もう自分が何を考えているのか解らなくなってきた』
そして、穂紗希は緊張感が少し無くなってきたのか。上機嫌そうでずっと鼻歌を歌ってい
る。
僕は沸かしたお湯をコップに入れて、お茶の粉を入れる。そして、飲みやすいように水で
少し冷ます。
「よしっ!出来た!」
未練はコップ二つをトレーに置いて、穂紗希が据わっているところに持って行く。
「はいどうぞー」
そして、僕は穂紗希が座っている前の机にお茶を置く。
「あっ、ありがとうございます」
と言い穂紗希はコップを持つ。少し冷ましてあるので熱っ!にはならない。
「で、急にどうしたんだ?こんな夜遅くに?」
僕は椅子に座ってそう穂紗希に聞いた。
「いや、先ほどやけに強い殺気を感じまして、もしかすると未練さんの部屋に侵入してい
ないかと心配になりまして」
実は僕もさっきから強い殺気を感じていた。少し警戒をしていたが心配なさそうだな。だ
って、
「という事で、今日はこの部屋で寝ますっ!」
と手を上げて穂紗希は言う。実はこの事も少し予想していた。期待ではないぞっ!
「で、僕はどこで寝ろと」
僕がそう聞くと、
「私の横でどうぞ!」
緊張して寝れなくなるわっ!
「寝れるかっ!」
と少し間が空いた突っ込み。それを良いことに穂紗希は、
「少し想像しましたね」
ぐっ、なんか色々とまずい。
「してない」
そして、攻め込むように穂紗希は、
「しましたね」
「してない」
「絶対にしましたね」
「だからしてないってば、勘違いしないでください」
最後はツンデレの名台詞、勘違いしないでよねっ!で閉める。よねでは無かったけど。
「とりあえず、朝までこの部屋にいることは確実です!」
何かこいつ隠してやがるな。
「一体何をした」
そう聞くと穂紗希は、
「部屋を返してきました!」(てへぺろっ!)
穂紗希はそう言う。
てへぺろじゃねーよ。
「とりあえず。部屋をもう一度借りるか」
と僕は部屋から出ようとすると、穂紗希が服を引っ張り、
「とりあえずお金の事をー!」
そういえば最近稼げていないからな。
僕たちの仕事はギルドにあるクエストをクリアする事、時代が進化した今もそこだけは変
わりない。進化したのは武器ぐらいだろう。
「わかった。今夜はこの部屋に泊まっていけ。けど、変な事をすると僕は部屋を移るから
な」
そして、穂紗希は、
「はいっ!」
この返事を僕は信用した。僕も甘い人間になったものだ。
「それじゃあ、僕は寝る用意をするよ、明日も早いし」
僕はメインの電気を消して、机の上にあるスタンド電気をつけておいた。
「はい、おやすみなのです」
と穂紗希は言う。
「あぁ、おやすみ」
と僕も言う。そして、僕は目を閉じて深い眠りについた。
「はずだったのに・・・。僕はなんでこの世界に来ているんだ?」
僕はまた、シルフィアの世界に来ていた。
「知らないわよ。あなたが勝手に来たのだから」
とシルフィアが言う。
「それにあなたの魂はこの世界に来て休憩を取っている様子ね。これならあなたは大丈夫
よ。実際の体は現世にあるのだし」
確かに、疲れが取れていく感覚がとても気持ち良い、これは凄いや。
「あなたがこの世界で起きていても向こうの世界ではしっかりと休憩を取れているのよ。
だから安心しないさい」
シルフィアが本を見ながら言う。
「それはどうも」
未練は軽く頭を下げる。
「ここは夢の世界と同じものよ、あなたが望むものなら何でも出てくるわ。ためしに一つ
願ったら?」
僕はその言葉を即、実行した。刹那、
「まさか本当に出てくるとは」
そして、シルフィアは、
「夢の中でも戦うなんて、どんなけ戦いが好きなのかしら。あなたみたいな人は女の人と
か出しそうだと思っていたわ」
なんか僕に対するイメージというのはどうなっているのだ?
「そんなの冗談よ。それにもう一人お客さんを連れて着ておいたからその事練習したら」
とシルフィアがそう言う。
もう一人?一体誰だ?と思っていたら。
「未練さん。一体ここはどこですか?」
この声の正体は、
「予想は少ししていたが、やっぱり穂紗希か」
後ろから聞こえてきた声の正体は穂紗希だった。
「なんか期待はずれだった。か予想はついていたみたいな顔をしていますね」
二つ目の方が正解だと思うよ僕は。
「いやー、だってこの世界で親しい人って穂紗希とシルフィアしかいないし」
と僕が言うと、
「やっぱりシルフィアだったのね」
穂紗希は呆れ顔でシルフィアの方を見る。
「本当に久しぶりね、名を失った人形さん」
この時僕は少しだけ疑問に思った事があったが、またの機会に聴こう。
「今は穂紗希と言うすばらしい名前があるのですぅ~」
と穂紗希は言うが、
「あら、よかったじゃない。良い名前をもらって」
シルフィアは感情無しで棒読みでいう。
「一体二人はどういう関係なのだ?」
僕は、割り込むように聞いた。
「そうね、少し前の事かしらか」
穂紗希ではなく、シルフィアが語り始める。
「確か、人形にも学校があると知っているのね?」
と僕に聞いてくる。
「あぁ、穂紗希から少し聞いた」
僕はそう答える。
「人形にも学校があるように精霊にも学校があるのよ。その二つの学校ではいつも私たち
が成績トップだった」
そして、僕は思う。勝ち組かよ!
「けど、私はその頃名前を失っているからランキングも誰かわからない状態だったのに、
急にこのロリが学校にやってきて、正体を生徒に明かし、広められていった。あの後は散々
だったわよ。いつもいつも成績トップを狙う人たちが歩誌寄せては勉強やろうとか、本当
に迷惑だったし!」
二人とも傍迷惑だろそれ。
「本当に穂紗希っていろんな性格の持ち主なんだな」
と僕は何も考えずにそう言う。
「本当によ。いろんな性格を持っているせいで、いろんな人に迷惑をかけたわ」
穂紗希は少し反省している様子でそう言う。
「まぁ、そんなこんなで最悪の出会いだったという事よ」
シルフィア、君が穂紗希に会いに行ったのとかわらねーよ、それに穂紗希は何も悪くない
と思う。多分。
「そして、トップ同士のペアを組まされよく戦場に飛ばされたわ」
と穂紗希はため息をしながら言う。
それは多分シルフィアのせい。
「戦場に行っては恐怖の女というあだ名を言われて、少し嫌だったわよ」
恐怖の女?そんな風に見えないけどな。
「だけどあったのよ、この人形が恐怖だと思う殺し方が。うん?」
とシルフィアが顔をかしげる。そして、
「あなたたち早く向こうに戻ったほうが身のためだわ」
そして、現世に返された刹那、宿のドアの向こうから物凄い殺気が感じられた。
「これはまずい」
刹那、爆発と同時に地震が起きる。
僕と穂紗希は僕の手結界で身は守られた。そして、爆発のせいで煙が部屋に充満していた。
やがてその煙は消えていって、周りが見える状態になった。
「これは」
未練は目を大きく開き、周りの状況を目で見る。
「酷い」
穂紗希は口を手で押さえながら言う。周りの状況は穂紗希の言うとうり、酷かった。
人々が倒れており、建物は崩壊していた。
確かにひどい。けど、今はそんなこと考えている暇など無い!
「とりあえずここから逃げるぞ!」
僕は結界を解除して、穂紗希の手を強くつかみ、逃げる。この時僕はこの爆発を起こした
奴の狙いと作戦が解った。一応頭の中にシルフィアがいる。その作戦を一応伝えておくか。
『んで、私に伝えたい事って?』
こいつ絶対に僕の気持ちを読んでいたな。
『さっき襲ってきた奴の情報だよ』
僕がそう言うと、
『相手の作戦が解ったの?』
そして、僕がそう心の中でシルフィアと話していると、
「未練さん!後方から敵の姿ありです!」
僕たちを追いかけながら何かをしている。
未練は目を細めてよく見る。
「これはまずい」
そうつぶやくと、
「えっ、何が!?」
僕は一度穂紗希の方を向き、追いかけてくる奴の方を見る。
「手結界!」
結界を出した瞬間、何かが結界を触れ、落ちる。そして、その落下物を見る。
「はっ!」
僕は目を疑った。これは、
「銃弾だ!」
それほど驚く事は無いと思うが、僕はそれに驚いているのではない、僕たちがガチの殺し
屋に襲われている事に驚いている。
『シルフィア!』
僕は心で彼女を呼ぶ。
『そんなに焦って呼ばなくても私はどこにも行かないわ。で、どうしたの?』
僕は不可能だと思う事を言う。
『僕も拳銃をもてないか!?』
そう言うと、
『魔法が銃弾になる奴なら魔法で出せると思うわ。試しに使ってみる?』
『あぁ、少しだけ使わせてくれ!』
と僕が言うと、
『それじゃあ聞き手の方の腕を伸ばして!』
僕は腕を伸ばす。そして、
『行きますよっ!』
僕は手に何丘を感じ始めていた。
「あぁ、さぁあ来い!」
そして、手から強い光が放たれる。
「さぁ、始めようか!バトルを!」
穂紗希も剣を構える。
「まさか、あの精霊がその魔法が使えるとは、やるじゃない。少しだけ見直したわ」
と穂紗希が言い、手の平を剣に近づける。そして、その剣が火に包まれる。
「準備は良いっ!」
穂紗希は僕の方を見て言う。
「あぁ、いつでも!」
そして僕は引き金を引き、穂紗希は攻めに入る。
穂紗希は物凄い速さで敵を切って行く、僕は穂紗希の切る敵を予測し、その切る相手に中
を向ける。そして引き金を引く。
「あまりにも敵が多いっ!」
どんどんと僕たちを襲う奴らが出てくる。
「さすがの私も疲れたよ」
と言い、穂紗希は戻ってくる。
確かに、このままでは確実にだめだ。どうにかしてこの場を逃れないと。
そう思った刹那、
「さてと、これで少しは落ち着いたかな?」
聞き覚えのある男の声だった。
「まさか!?」
と僕は煙が立つところから出てきた男を見て、
「そうだ、前をよくもやってくれたなー。今日はそれのやり返しに来た!」
そして、僕は・・・
「だれだあんた」
完全に思い出せないし、こいつ誰だったけ?
「って、未練さんも結構酷い人ですね」
と穂紗希は言う。
「えっ、そこまで!?」
僕は本当に思い出せなかった。
「あれ、そういえば、そいつに間違えて少しの記憶をなくす魔法を使ったような」
男はそう言う、そして穂紗希が、
『イラッ!』
「喧嘩うったほうが記憶を失わせてどーすんのよ!」
と言いながら穂紗希は剣を物凄い速さで振る。
「すまんっ!だってあの時にあの魔法を発動させてしまったんだから!」
あれ、これって以外と早く勝てんじゃねぇ?と僕は思った。そして、銃を出して引き金を
引く。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
と僕と穂紗希に続き、他の殺し屋も続いて言う。
「本当に容赦ないな未練さんは」
僕は慌てて、
「いやっ!一発でやられると思わなかったんだもん」
そして、この場にいるみんなは思う。
『鬼畜だ、この人』
刹那、
「んがぁーーー!!!」
男が起き上がってくる。
そして、みんなは―
「「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」」
と叫ぶ。
「生き返った!!!!」
胸の辺りから粉みたいなのが出ていた。
『ほう、珍しいお客さんに出会ったものね』
急にシルフィアが頭の中で喋りかけてきた。
『何か知っているのか?』
僕はそう聞くと、
『彼はあの粉のようなもので出来た人ってやつ?』
なぜ疑問系になった?
『その粉みたいな奴の倒し方は無いのか?』
はっきり言って、奴の倒し方が無いか自分でも考えてみたのだが、粉だ。水しか浮かばな
い。
『まぁ、水系の魔法でしか無理だと思うわ。彼みたいな敵は珍しいいタイプだから研究し
ている人もいないし出くわした冒険家も全員倒されているし。だから情報が入ってこない
のよ』
珍しい敵か、この勝負どうなるかな?
「よくもさっきは撃ってくれたな。この恨み晴らさせてもらおう」
男はショットガンらしきものを出してくる。
「未練さん、これは少しまずいですよ」
穂紗希が後ずさりをする。これは女の子ではこの勝負は無理だ。なら、
「穂紗希は下がっていて」
僕は穂紗希の手をつかんで自分の後ろにやる。そして、
「死んでもらおうか!」
と男は引き金を引くそして、銃弾が目の前に来た刹那、
「手結界!」
僕は結界を作り、一発の銃弾を防いだ瞬間に攻めに出た。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
未練は声を上げながら剣を構える。そして、男はまた引き金を引く。飛んできた銃弾は持
っている剣を振って防いだ。そして男の目の前に来て、
「爆水!」
刹那、未練の剣から水の渦巻きが出て、
「まさかっ!みんな逃げろっ!」
そう殺し屋たちが言った瞬間、物凄い爆発が起きた。未練はその爆発に巻き込まれた。
「未練さん!!」
私は今出る声を手を伸ばして言う。そして、私が絶望しかけている時に、誰かが横から近
づいて未練さんの方に腕を伸ばす。
「凍結」
その横に来た人物は魔法を使い、爆発した所を凍らせた。
「あなた、一体何を・・・何をしたの!?」
私はそう言う。そして、その見知らぬ人物をよく見ると、
「これがあの人が私に、精霊に言った命令です。精霊は主の言う事は絶対に聞かないとい
けない、それが私たちの世界なのだよ」
未練たちを凍らせたのはシルフィアだった。
「どういうこと!?何?未練さんがこうしろとでも言ったの!?」
「言ったわ。私も好きでやっていないのだから」
シルフィアは真剣な顔で即答する。
「私は精霊。命令されるまでは外に出れない」
私は何度も耳を疑ったが、本当の事だとシルフィアの顔を見てわかった。
「それで、未練さんはどうなるの?」
穂紗希は胸の前で自分の左手を右手で握り締める。
「それは彼の体力と命しだいね。私はここまでのようだわ。さようなら」
と言いシルフィアは小さな光となり、凍った氷の中に入って行った。そして、私はある事
に気づいた。
「シルフィアが未練さんの頭に入って行った事は」
私は凍った未練さんのところを彫り始めた。
「お願い!間に合って!お願い!間に合って!」
穂紗希の声がその場に響き渡る。そして、
「未練さんっ!」
穂紗希は未練の部分だけ彫って、未練だけ出す事が出来た。
「起きて下さい!起きて下さいっ!」
刹那、氷が崩れて、またあの男が出てきた。
「招かざる客だよおまえわ!」
穂紗希は本気で戦闘モードになった。
「何が招かざる客だ。本当に最近の雑魚はよぉ!」
と男は大きい剣を出して穂紗希に襲い掛かる。
「人形なめんな!」
穂紗希はロングソードを出しすぐに男が振ってきた攻撃を防ぐ。鳴り響く鉄と鉄のぶつか
り合う音。
私は少し男の勢いに押されていた。防ぐ時に重い剣で攻撃されたため少し踏ん張る時に足
を捻挫した。
その頃、未練はシルフィアの世界に居た。
「やっと目覚めたわね」
シルフィアはコートらしきものを脱いでこっちを見る。
「またこの世界という事は、死にかけたのか」
僕はそうつぶやく。
「そんなこと言っている暇はあるのかしら」
とシルフィアが言う。
「どういうことだ?」
そして、シルフィアが―
「あなたの人形が今あなたの体を守ろうとして怪我を負いながら戦っているのよ」
僕がそう聞いた刹那、魂を体に戻した。
「本当にあの主は」
シルフィアはそうつぶやき、本を読み始める。
そして、魂を体に戻した未練は目を開き、立ち上がろうとすると―
「穂紗希ぃ!」
穂紗希が切られた直前だった。
そして、穂紗希は地面に倒れこむ。僕は穂紗希にかけより何度も呼びかけるが応じる事も
無かった。
『シルフィア、すまないが今出てきて穂紗希の状態を見てくれないか?』
そして、
『わかった。思い存分やりなさい。剣はあなたが願う時に出てくるわ』
僕は心からシルフィアに、
『ありがとう、感謝するよ』
そして、僕は立ち上がって剣を抜く。
「この恨みはおまえを殺すまでだ!」
未練の目は色を変える。そして、男は大きい剣を僕に振り落としてきた。
「おまえは本当に強がりだな!」
と男は言うがこれも作戦のうちだった。
そして剣で防ぐが、僕は少し後ろに飛ばされた。それと同時に、
「ここに召喚する。魔剣、エクスカリバーをっ!」
そして、金と銀色のした件が僕の手に召喚された。
「まさか、あの伝説の魔剣を出すだと!?伝説じゃあなかったのか!?」
僕は足の先で後ろに飛んでいくのを防ぎ、その止まった直後の勢いで走り始めた。
そして、男目の前に来た。そして、
「これでおまえの出る幕は終わりだっ!」
剣を思いっきり振って倒した。次は粉々になることは無かった。それはなぜかというと。
男の中に残った水分が凍って分散できなくなったからだった。そして、僕が持っていたエ
クスカリバーは小さな光になって消えていった。
「これで終ったのだな、穂紗希・・・穂紗希っ!」
僕は慌ててシルフィアに聞く。
『穂紗希はどうだったんだ!?』
と僕が聞くと、
『少し回復に時間がかかるかもしれないし、このまま・・・』
僕はこの先を聞きたくなかった。
『そっか、ありがとう』
シルフィアを体ごとあの世界に運んでもらった。
そして、僕は新しい宿の部屋を取り、そこに今晩は泊まる事にした。
静かな夜にずっと輝いている星。出会ってそんなに経っていないのに、本当に寂しいし、
悲しい。
そして、その日は寝た。夢には今までの思い出が走馬灯の様に脳裏を過ぎる。
未練は寝ている間、何度も涙を零していた。
そして、朝になり宿を出る。朝早くから未練は下を向き、歩いていた。
「君がいない日々は本当につらくなりそうだよ」
そうつぶやく、何度も浮かんでくる穂紗希の顔。
『君に出会うまでこんな事は思った事が無いよ』
彼女に出会っていろんなことを習得していた事を未練は何度も思う。
「未練さん!」
聞こえてくる穂紗希の声、今穂紗希はどうなっているのか。
「無視をしないでください!未練さん!」
誰かが僕の肩を持つ、そして振る向くと、
「本当に酷いですよ無視するなんて!」
僕は何度も目の前にいる人物に目を疑った。
「いっいや、だって」
混乱して何がどうなっているのかがわからなかった。
「私は人形。少し直せば元気満々ですよ!」
未練は涙をこらえられなくなって零し始める。そして、
「えっ!?」
僕は穂紗希を抱きしめた。そして、穂紗希が少し驚く。
「本物だぁ、本物だぁ」
僕は泣きながらそう言う。
「本物ですよ。ただいま、未練さん」
穂紗希を抱きしめながら、
「おかえり、穂紗希」
そして、戻ってきた彼女と僕はこれから共に冒険をする事を誓った。
「準備は良いか?」
僕は穂紗希から少し離れて言う。
「はい、いつでもいけますよ!」
そして、僕たちは―
「さぁ、はじめようか!僕たちの冒険の続きを!」
僕たちはまた新しく冒険に出る事にした。
「その言い方は少し間違っていないですか?」
と穂紗希が言う。
「確かに・・・。じゃあ」
僕は深く息を吸い、
「さぁ、はじめようか!擬人化人形と魔法使いの冒険を!」
そして、僕たちの冒険は再スタートしたのだった。
擬人化人形と魔法使い 和泉しんご @izumisingo
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