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 本来、夢は記憶に残らないようにできているんだ。でないと、夢を見る意味がなくなっちゃうからね。

 夢は記憶の整理整頓も兼ねているから、全部覚えていたら、かえって記憶が散らかっちゃって、日常生活にトラブルが起こるんだ。

 起きた時は覚えているのにすぐ忘れちゃうのも、それが理由。


 ん? ずっと覚えている夢もあるって?


 そりゃぁね。起きたあとに何度も何度も繰り返し思い出すことによって、記憶として頭に刻み込まれるんだ。


 悪夢なんかがまさにそれ。


 恐怖だったり、不安だったり、いつもより強い感情が、何度も何度も夢を思い出させて、日常生活の邪魔をする。ボクらはそんな悪夢を祓っているってわけ。


 黒崎くんも、夢に出てきた人にかなりご執心だけど、実は悪夢だったり……


 ジョウダンだよ。そんなに怒るなって。じゃぁ、何でそんなに思い出したいのさ?

 えっ? 恥ずかしい? 隠してたら、相談もクソもないだろ? 言っちゃいなよ。悪夢祓い倶楽部の中だけの情報として、秘密は厳守するから。


 はぁ? 女の子?

 可愛かった? 誰なのか知りたい?

 …………どこの少女マンガですか、それ?


 オイッ! 龍之介! 笑うな! 腹まで抱えて、失礼だぞ!

 やよいちゃんも鼻息荒くしない!

 フッ……あっ、いや笑ってない、笑ってない。そういうのもありだと思うよ。

 フフッ……


 まぁ、夢を見てみないことには何とも。

 バグかもしれないし、プログ……

 は? バグだよ? 黒崎くんの言っているのはバク。夢の世界の住人。じゃなくて、バグ。


 バ! グ!


 う~ん……どう、説明すればいいのかな? 悪夢の素みたいなものなんだけど……

 とにかく、ウジャウジャしていたり、ドーンってなったり。ああ、龍之介の言うように、うっとうしくもあるな。

 はぁ? 可愛い?

 アホなの、やよいちゃんは? そんなこと、滅多にないじゃん。

 ん? 紅子ちゃんも何かある?

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