15 空中で身をくねらせると落ちかねない
「1日でここまで改めがあるとほんっとになめられてるとしか思えないよねー」
「長官さまぁん……」
いままで百目鬼区……島は犯罪率が異常なまでに低かった。
それはそうだろう、だれも警察官の前で犯罪をするものはいない。同様に改方や、その部下である与力がいるところで罪を犯すはずなんてない。と思うのだが。今日実際に事件が立て続けに麻薬の件も含めると3件、王里が取り締まりに行くような大きなものが起こっている。
加えて、最初の麻薬取引中の男の「茅花の求心力が落ちている」発言だ。どう考えてもなめられているとしか思えない。
ふう、と憂い気に黒く長いまつ毛を伏せながらため息をつく王里に。本家へと向かう空を飛びながら、灰色の一反木綿は気づかわし気に呟いたのだった。
「ま、なるようにしかならないよね。ボクの半身がいるなら持ち直すだろうしー」
「まあ、長官さまは怪奇方面賊改方長官をかっていらっしゃるのねぇ」
「当然だよ? だってボクの半身だものー」
ふふっと憂い気とは一転して楽しそうに笑う王里に、やっぱり長官さまには笑顔が一番だわぁと安堵のため息をついた一反木綿は、本家に戻るため空を行くスピードを速めたのだった。
「そう言えば、リヒトさんが今日ボクの仕事見たいって言ってたけどなんでだろー?」
「あの爺、長官さまの貞操を狙ってるのよ!! ああ、恐ろしいわぁん!」
「いやー、それはないと思うけど……」
「男は皆狼なのよん!」
「いや、ボクも男だし……」
でも一緒に寝てたことといい、あながち……と考える王里だったが、とりあえず空の上で一反木綿が身をくねらせるのはやめてほしかった。危ない。
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