第2話 少女達の質疑応答

夕貴は、助けてあげた子の美しい顔を見て、その透き通る綺麗な声を聴いた。

「俺をいじめていた奴らを、こんな簡単に、あっという間に倒すとはな。同じ女として、尊敬するぞ」

夕貴は、目の前にいる子が、女の子なのだと気づいたのだ。

最初に見た時、男の子だと思ったのは、単なる夕貴の勘違いで、実はジャージの子は女の子だったのである!

女の子なのに、着ている服も一人称も立ち振る舞いも、少年のようで、奇妙な人である。

勘違いしたことを心中で申し訳なく思いつつ、夕貴は自己紹介する。続いて、少年のような女の子も名乗った。

「俺の名前は岩男綾女。自分で言うのもなんだが、俺は一見すると少年のようだが、生物学的な性別はれっきとした女という、とにかく面倒なやつでな・・・」

確かにその通り、生物学的な性別はれっきとした女性なのに、着ている服も、言動も少年っぽいという奇妙な美少女なのだ。

「色々理由があって、普通の人達が当たり前のように出来ることが、俺には出来ない。普通の人々が当たり前のように享受できる幸せが俺には得ることが出来ない。その上、問題ばかり起こすし、皆からは白い目で見られて罵られているんだ」

「そ、それは辛いね」

「俺はずっと生き辛さを感じて生きてきたんだ、だから」

そこまで話した時、異常事態が発生した。


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