まずは抗がん剤、、、のはずが

会社への届け出も出して、

晴れて、サボリ…じゃなく、療養期間に入る。

とりあえず、仕事もなく、入院までは実家で療養。

寮の荷物も、いずれは戻るだろうけど、

服や、貴重品など、身の回りの物はあらかたまとめて実家に持って帰ってきた。

ぶっちゃけ、このあたりのことはよく覚えていない。

仕事のシフトで埋まっていた予定が、全部空になって、

ぼーっとして過ごしていたのだと思う。

それまで仕事をこなしていたわけだから、

体を動かすのは平気だったのに、

何か手伝おうとすると、母に制止された記憶がある。

いいから休んでなさい、と。

和室の居間に不釣り合いに置いてあるデカいソファが

私の特等席になった。




初入院は、日帰りか、1泊~2泊程度だったように思う。

というのも、診療計画にあったように、

まず、抗がん剤でガンを小さくする、ということを始めたのだ。

抗がん剤自体は、入院の必要がそもそもないらしい。

点滴で、2・3時間で終わってしまうので、

副作用がない人は、通院でやってるという人も多いようだ。

私が、始めて入院したときも、

同室にいた人が、前は日帰りでやってたんだけどー、なんて話をしていた記憶がある。

この時の抗がん剤は、私もそんなに副作用はなかったと思う。

ちょっと点滴をして、また1週間後に次の打ちますからねー、

で、終わった。

さて、じゃあ次、1週間後までまた気ままな贅沢ライフだ、と。

家に帰っても、具合が悪くなることもなかったように思う。


その1週間後、再び大学病院へ。

まずは血液検査から。

いろいろな血液の値が満たされてないと、

その抗がん剤は打てないらしいのだ。

私は、それがクリアできなかった。

抗がん剤に種類があるのかわからないが、

この時はとにかくじれったい思いをした。

1時間かけて大学病院へ行き、

血を取られて、結果が出るまでしばらく待たされ、

挙句、白血球だか赤血球だかの値が戻ってない、と、

家に返されてしまうのだ。

それが、2・3週繰り返された。

最初の1回しか抗がん剤を打ってないのだから、

その間も不正出血はあるし、交通費だってかかるし、

何よりガンは大きくなってるのでないか。

素人だからそういう不安を抱く。

3回目くらいになると、医者も業を煮やしたのか、

もう、手術で取っちゃいましょう、となった。

最初、あんなにドヤ顔でウチの病院では、、、なんて言ってたやないかあああああ!!!

なんやったんや!結局抗がん剤1回しか打っとらんでえええ!!

医者の言うことだもん、聞くしかないパート2である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る