仕事の話と、仲間の支え

なんで、母と一緒に実家に帰らず、寮に送ってもらったか。

次の日仕事があったからだ。

この状況で、仕事なんて何を言っているんだ、と

思うかもしれないが、

私は、入社3年目にして、少なからず仕事に対しての責任感があった。

給食調理の委託の会社で、社員食堂で調理師をしていた。

4人は必要な現場を、3人で回していた。

しかも一人は新人だった。

私が抜けるわけにはいかない。

体調も不正出血が続いてるだけで、

ガンと知る前と後で、病状が急に悪化するはずもない。

大学病院でも、入院の予定をもうちょっと遅らせられないか、

せめて私の代わりが見つかるまで、

今週いっぱいは仕事をさせてくれないか、と懇願した。

横で聞いていた母親はどんなに居た堪れない気持ちでいただろう。

寮に着いて別れ際に、

そこまで言うなら仕事は仕方ないけれども、とにかく無理をするな、と声をかけてくれた。

馬鹿な娘でごめんね、母。


その夜、寮で、私の部屋の向かいに居る

婦人科を勧めてくれたおばちゃんの部屋を訪れた。

全てを洗いざらい話をした。

病院でのやりとり、私はできる限り仕事に出たいと思っていること、全て。


で、お母さんはなんて言ってるの?

?できれば、すぐにでも休んで欲しいって思ってるみたいですけど、、、

当たり前やん!そんなん!!!


叱責された。

明日だけは、どうにもならないから、出てもらわなきゃいけないけど、

あとはもういいから、ずっと休みなさい。

完全に治してから、戻ってきなさい。

あとの仕事のことはなんにも心配しなくていいから、

自分の体を治すことだけ考えなさい!

お母さんにこれ以上心配かけるんじゃないの!!!


有難い言葉だった。

パートではあったけど、私より長く現場にいたその人からのその言葉がなければ、

私は仕事をギリギリまでやっていたかもしれない。

多くの人に支えられてる、と実感した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る