第2話

――?


急ブレーキで止まると、男がやってきて窓を叩いた。


窓を開けて見ると、先ほどと同じ男が立っていた。


――まさか!


男は言った。


「すみません。N市まで乗せてもらえないでしょうか」


どこからどう見ても同じ男だ。


顔、髪型、服装、声。


そして言っている内容も同じ。


なんで同じ男がここにいる。


俺の車を抜いた車やバイクは一台もなかった。


わき道を通って先回りをしようにも、このあたりは農道以外に車やバイクが通れる道はない。


それに農道は田畑に沿って造られており、この道のように真っ直ぐではなくて大きく膨らんでいる。


おまけにこの道と通ずる箇所も限られているのだ。


そんなところを通って先回りして来たとは、到底考えられない。


だとしたらこの男は、いったいなにをどうやって今ここにいるのか。


「すみません。N市まで乗せてもらえないでしょうか」


やけに青白い顔の男がもう一度言った。


暗さと不気味さしか感じられない声で。


「駄目だ、駄目だ、駄目だ!」


俺はそう言うと、慌てて車を発進させた。

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