ループする道

ツヨシ

第1話

夜の郊外の細道。


俺はその道を俺は車で飛ばしていた。


このあたりは田舎ではあるが、山道と言うわけではなくて、ほぼ真っ直ぐで見通しのよい道だ。


――遅くなってしまったな。


目的地まではまだまだ時間がかかりそうだ。


そんなことを考えながら走っていると、道の真ん中に立っている人影をライトが照らした。


突然のことであり、予想外のことでもあり、俺は慌てて急ブレーキをかけた。


車はその人物の数メートル手前で止まった。


――危なかった……。


なんでこんな時間、こんなところに人がいるんだ。


怒鳴りつけようかと思っていると、そいつがこっちにやって来て、窓を叩いた。


見れば大学生くらいに見える、暗い印象の男だった。


不自然なほどに顔色もよくない。


男は言った。


低くて聞き取りにくい声で。


「すみません。N市まで乗せてもらえないでしょうか」


N市までだって? 


俺はちょっと呆れた。


N市は逆方向のうえに、けっこう遠かったからだ。


そんなずうずうしいことをあっさり言うなんて。


俺はぶっきらぼうに言った。


「N市は遠いし、おまけに逆方向だ。俺は急いでいるんでね。悪いが乗せてあげられないよ」


「そうですか。残念です」


男はそう言った。


俺は男を残して車を発進させた。



しばらく車を走らせていると、また道の真ん中に男が立っていた。

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