第44話 勘違い野朗!


俺様の名前は、ブラッドフォードと言う!


カザルヌオーヴォの町の冒険者ギルドの、ギルドマスターだ!


今回、また厄介な時間が俺様の管轄で起こりやがったぜぃ!


多分これは、国家ぐるみの陰謀が渦巻いている事だろう。


でもだ!心配は無用だぜぃ!


何せ俺様が、この町にいるんだからな!


俺様の名推理が炸裂しそうだぜぃ。


自慢ではないが、数々の難事件を解決してきた俺様には、今回の事件など

直ぐに解決できるはずだ。


少女をダンジョンから助け出した奴等が、途轍とてつもなく怪しいのだよ!


副ギルドマスターの目は誤魔化せても、俺様の目は欺けないぜぃ!


副ギルマスが言うには、少女達のパーティの名は「乙女の吐息」と言うらしい。


メンバーの数は、全部で5名だそうだ。


助けられた少女の名は、レティシアと言うらしいな!


職業は、魔獣使い!パーティギルドランクはDで、個人ランクはEだそうだ。


少女と一緒に運ばれた使役獣は死亡しており、少女も怪我が酷かった。


特に酷い部分は、右足の脹脛ふくらはぎだな!


肉が削ぎ落とされていたらしく、治療はされていたが。


少女は歩く事はできても、走る事はできなさそうだな!


レティシアは冒険者を引退するしかない。


悲しいが現実は厳しいのだよ.....


俺様が現役で冒険者をしていた時にも、そんな奴等は沢山見てきた!


彼女だけが特別ではない。


引退したとしても、冒険者ギルドで受付が不足しているので、

受付で良ければギルドに就職して欲しいけどな!


そんな後の事は、この際後回しだ!


今の問題はだ。


少女を助け出したパーティ「子猫」の奴等だな!


こいつ等が非常に怪しすぎる!


地下3階のボス部屋にマジック・マウスが10匹も出たとか

抜かしおって!


地下3階にマジック・マウスが出るはずなかろう?


あの魔獣は地下5階から出てくるのだ。


地下3階のボス部屋にでるのは、精々ビック・マウスが5~10匹

と言った所なのだからな!


パーティ「子猫」パーティランクはDで、リーダーがアンジェリク・ジェローム

と言う女性か!


その他には、レオン・ラサルと言う青年!


ヨハンネス・ネストリ・ニクライネン......長い名前だな!


長い名前の爺に!


アン=クリスティン・アルヴェーン......コイツも名前が長いな!


爺は、あの見た目だからな!ドワーフだろな?


そして.....なんだ小さすぎないか?


チビ少女が、ウッドエルフ族なのか?


エルフってあんなに小さかったか?


あれ~おかしいな?


こいつ等は怪しいぞ?


レティシアを一番最初に助けたのが、パーティ「子猫」の

アンと言う名の少女だったのか!


何々?アンが少女を助ける為に、魔法攻撃を始めて....


それにリーダーのジェローム君が、アン君のしてる事に気が付いたと!


ふむふむ!


そうして、パーティ「子猫」のメンバー全員で救出活動を開始して、

レティシアだけは、無事に生還できたのか.....


その際に、地下2階のボス部屋で戦闘中だったパーティ「疾風の短剣」が

協力してくれたと!


パーティ「疾風の短剣」は、妖しくなさそうだな?


問題は、怪しいパーティ「子猫」の奴等だな!


もしかして、口封じをしている最中に、「疾風の短剣」が

近くに来たから、助ける振りをしただけかも知れない!


その可能性が高い!!!!!!


おっ~~っと!


俺様の名推理が、炸裂してしまったぜぃ!


レティシアのパーティ「乙女の吐息」と、ダンジョン内で口論になり

頭に血が上った「子猫」の誰かが、レティシア達を殺害!


そうして、「乙女の吐息」達を皆殺しにしてる最中に、目撃者達が

現れてしまい、困った「子猫」達は助ける振りをして.....


俺様の推理では、この様に事件が発生したのだよ!


まず!これで間違いないだろう!


俺様は、この難事件を解決した英雄として、この町....いや!

この国.....いや!全世界で英雄と賞賛されるだろう!


うふふふ!


この国の支部長の椅子も、直ぐに手に入るだろうな。


そして、


公示人こうじにん達が、俺様の偉大さを道端で宣伝してくれるだろうな?


ダンジョン内で発生した、難事件を見事に解決してみせた冒険者ギルドの

ギルドマスター・ブラッドフォード名をな!


俺様の出世は決まったも当然である。




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~豆知識~


公示人と言う職業は、中世ヨーロッパで識字率の低かった時代に

民衆に最近の出来事などを知らせる仕事をしていた人達です。


公示は、一定の事柄を周知させるため、公衆が知ることのできる状態に置くこと。公の機関が行う場合と、私人が行う場合がある。


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