第24話 襲撃!

{武器屋に来ている}


【ご注文どおりの品に仕上げてますよ。】

〈手に馴染む太さだよ!〉


【何なら、裏庭で試し撃ちして行くかい?】

〈えっ!試し撃ち出来るの?するする!〉




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



アンの杖の試し撃ちをする為に、武器屋の裏庭に移動した一行!


〈我名はアン森の母よ、我声に答えたまえ、アーク・アロー〉


ズドォ~~~ン!


鳴り響く轟音!焦るレオン達!顔面から血の気が引いて行く店主さん!

満足げなアンに詰め寄るアンジェ!


「何を考えてるのよ!武器屋の庭を壊す気なの?」

〈軽く魔法を撃っただけなんだけど...まさか...あんなに威力が出るとは思わなくて〉


アンの威力は前より強くなっているみたいである!これならパーティの火力として

十分にレオン達の援護が期待できるはずである。


〈店主さん!ごめんなさい。〉

【大丈夫だよ!木が一本消し飛んだだけだし......】

「すいません!」


店主さんが許してくれたので、大事にはならなくて済んだ。でも~アンには此れからは、街中での魔法を使用する時は気をつけて貰いたい!そして、此れでこの町とも、お別れである!何故なら、この後に町を出発するからなのだ。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




{町を出発して3時間後}


何事もなく順調に次の町までの、道程を進んでいた一行の前に姿を表したのは、

魔獣に襲われた幌馬車の一行だった。まだ生きている人が居る!助けないと。

レオンが声をあげながら走りだした、その後にアンジェ等が続いていったのである


大丈夫ですか?

【冒険者なの?助けて!】

「みんな、援護射撃よ!」


アンジェの指揮の下、ヨハン爺さんとアンが、それぞれ弓と魔法での攻撃をしようとしていた、レオンは怪我人をアンジェの場所に運んでいる。この幌馬車の一行は、全滅寸前まで魔獣にやられていた。


何で全滅するまで戦ったのかは不明だが、逃げようとしなかったみたいだ!

助け出した人を見てみると、ボロ布とまでは言わないが、粗末な服を着ている

アンジェは脳内で、考えられる一つの答えに辿り着いていた。


「まさか.....そんな.....レオン!その人達って奴隷よ!」

奴隷だって!違法奴隷にされた人達なのか?


この世界には奴隷が二種類ある!国が管理する奴隷・囚人奴隷だ。

囚人奴隷とは、犯罪を犯した人が国に管理されて、刑期が終るまでの間

鉱山・港湾・遺跡発掘現場で働くのが一般である。


もう一つの奴隷は、違法奴隷と言って、攫われた子供や女性が無理やり

お金持ちや貴族に売られるのを指すのである。


アンジェが何で直ぐに気が付いたかと言うと、女性と子供しか居なかったからである、普通なら男性が多数を占めていても不思議ではなく、囚人奴隷の輸送には国の

近衛兵や騎士が随伴してるのだが、今現在、近衛兵の死体も騎士の死体もないのである!


「何としても助けてあげて!」

〈違法奴隷って何かな?〉

『アン!今は魔獣を倒すのじゃ!』


冒険者に掛かれば、スモール・ラビットの群れなど恐れる必要もなかった。

アンの魔法の威力があれば、群れの大半は一撃の下に葬り去っていた!

残りは、ヨハン爺さんとレオンが弓で確実に仕留めて行ったのである。


「お願い目を覚まして.....ヒール――――」

『もう良い!その者は運がなかったんじゃ!』


「何が良いのよ!私は、助けないと行けないの――」

<アンジェどうしたって言うんだ!>



アンジェが回復魔法を一心不乱に掛けていると、進行方向から護衛付きの幌馬車がやって来たのである。


〔魔獣に襲われたのか!被害は?〕

俺達が駆けつけた時には、何人かが魔獣にやられていた。今も仲間が回復魔法を使ってる最中なのだが、傷が深くて.....


〔そうか...俺達は、この先の町まで商人の護衛をしているDランクパーティ・大鷲の傷のブレントって者だ!〕


オレはEランクパーティ・子猫のレオンって者です。助けた人達が問題なんだ!

どうも助けた人達は、違法奴隷で、ブレンドさん達が向かう町方面から着たみたい

何ですよ.....俺達の進む方向とは真逆でね。


〔なるほどな!それなら俺達が町まで送り届けよう!町に付いたら警備兵に事情を説明してから保護してもらう事にするよ。〕


そうして貰えると、此方も助かります!これ少ないですけど攫われた人達の為に使ってあげてください。


そう言うとレオンは、大銅貨1枚をブレントに渡したのである。その間もアンジェは

回復魔法を掛けていたが、最後は魔力が切れて気を失ってしまった。


アンジェは気絶している状態で、怪我人を町まで運ぶのは、幾ら冒険者でもやっかいである!だからレオンはブレントにお願いをしたのだった。ブレントはブレントで、それが解っていたから助け合いをしただけなのだ!


これが、この世界の冒険者達なのである!酷い奴も居れば、他人の為に考えも無く

回復魔法を掛ける奴もいる!お互いに生き残れる選択肢をしたまでなのだが、

その選択肢を間違えば、即死ぬことになるだろう!


アンジェが何で、あの様な無謀な行動をしたのかが気になったレオン

目を覚ましたら、アンジェから事情を聞くことにした。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




{その日の夜、野営地にて}


アンジェ目が覚めたの?

「此処は何処なのレオン!」


アンジェが気を失った直後に、通りがかった冒険者パーティが居てね

その人達に頼んで、違法奴隷の人達を町まで運んで貰ったんだ.....

流石に俺達では、気絶したアンジェと怪我人を守りながらの移動は厳しい


「そうだったのね.....あの人は助かったの?」

最後まで回復魔法を掛けてた人は、残念だけど亡くなったよ.....

丁寧に埋葬もしてきたから....少しは穏やかに逝けると思うよ。


「私がもっと強力な魔法が使えたら.....」

アンジェのせいではないよ!誰もアンジェを攻めたりしない!出来る限りの事は

あの人の為にしてあげたじゃないか、あの人もアンジェに感謝してるよ。

だって顔が穏やかだったもの、そうでなかったら......


「レオン!私を慰めてるの?」

うん!今日のアンジェは普段と違ったから、何かがあるんだと思ってね。何か人に言いたくない過去があるのかも知れないけど、仲間の俺達には話してくれないかな


「ありがとう.....少し待って.....今はあの人の為に泣きたいの.....ごめんね」

『無理するな!何なら儂が胸を貸してやろう!』

<ボクもアンジェの為なら胸を貸すよ!>


良い仲間ができたねアンジェ!

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