第15話 安全確認しないとね?

{レオンとヨハン爺のランク上げの為に依頼をこなしていた。

 その日も、討伐依頼で森に入りレッドウルフを1頭とワイド・ボアを

 1頭狩った帰りの事だった。}


〈レオンよ、この辺りに強い魔力を感じるんじゃがの

 調べてもいいかの?やっぱり駄目かの?〉


{険しい森を慎重に進むレオンに対して、ヨハン爺が

            ドスドス歩きながら話しかけた。}


 その魔力の位置は近いんですか?


{アンジェは2人の会話に割って入ってくる。}


「寄り道してたら、町に帰り着く時は夜になっちゃうわよ。」

〈やっぱり駄目なんじゃな?〉


 ちょっと寄るくらいなら、アンジェ夜になる事は無いと思うけどな?

〈そうじゃ、ちょっとだけじゃから良いじゃろ?〉


{露骨に嫌な顔をしているアンジェだったが、レオンが行きたそうなので、

 渋々という感じで、頼みを聞くみたいだった。}


「本当に少し調べるだけだからね。約束よ!」

《はい。》


{2人は揃って返事をした後に、ヨハン爺が感じた魔力溜まりに向った。}


〈儂が案内するから、ちゃんと遅れずに着いてこいよ。〉

 ヨハンじいさん、早く行かないで....早いから!



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



{険しい森の中を歩く事1時間、森が開けた場所に出ていた。}


「ね~此処が魔力溜まりなの?私には何も感じないんだけど?」

〈もう少し先じゃな!あそこの崖が見えてるじゃろ?〉

 えっ?何処に崖があるの?


〈何を言っとる!崖が見えてないのか?あそこじゃよ!〉

「何処よ?見えないわよ!」


{ヨハン爺には崖が見えてるけど、レオンとアンジェには、

 崖が見えてないみたいだった。}


〈仕方ないの~儂に着いて来い。ほれ行くぞ!〉

《待って~》


 そんなに急いで歩かないでよヨハンじいさん!ドスドス歩くと危ないって、

 魔獣とか出るかもしれないのに.....アンジェも遅れないでね!


「ヨハン爺が早すぎるのよ!こっちはか弱い女の子よ!

 気を仕えないのかしら、失礼しちゃうわよね。」


〈文句ばっかり言ってないで、早くこんか!2人とも置いて行くぞ。〉

{そう言いって、ヨハン爺は歩き出した.....出したのだが.....}


〈最近の若い者は直ぐに.....文句ぅぅぅ.......を.......〉


「あっ.....落ちたわよ......」

 うん.....落ちたね......助けないとね?


{ヨハンが、地面に開いていた穴に滑落かつらくしてしまった。}


 おぉ~~~い!ヨハンじいさん生きてますか?

「ヨハン爺!死んだの?助けなくて良いわよね?」


 ちょ~それは酷いよ?

「あら~そうかしら?」


〈聴いておったら、好きな事を言いおって!

 2人とも降りて来い!そんなに深くないぞ。〉


「チッ.....運の良い事ね.....」

 アンジェ.....露骨に嫌がらないでよ.....

  ヨハンじいさんが可愛そうでしょうが?


〈早くしないか!穴を広げてやろうか?

  仕方ないの.....エッホ・エッホ・エッホ!〉


 あっ....アンジェ!その場所から動かないと危ない.....

「えっ?レオンどうした......の........きゃーーーー」


{ヨハン爺が掘った場所に、滑落して行くアンジェを

 レオンは見ていた。何とも無様な姿だったのか想像が出来るだろう?}


「いたぁ~~い.....何なのよ!」

〈小娘の為に穴を広げてあげたんじゃが?〉


「そんなの頼んで無いわよ!」

 アンジェ!そこを退いて、俺が降りれないのだけど!


〈早く退いてやらんか、レオンが降りれないって言っとるぞ!〉

「煩いわね~!退けば良いんでしょ!退けば。」

 よっ~と!ヨハンじいさん、楽に降りれたよ。


「私は落とされたけどね!」

 アンジェ怒らないの!

〈儂、悪くないもん!ふん!〉


「何が.....悪くないもんなの!埋めて帰るわよ。」

 落ち着いて!落ち着いて!2人とも喧嘩をしないの!


 《カサカサ》


{奥から不気味な音が近づいて来た}


〈何か奥から来てるようだぞ?〉

2人とも戦闘準備して!

「解ってるわよ!」


《ガサガサ》


{姿をあらわしたのは、1m程のクモだった。}


〈土蜘蛛か!魔法が使えれば直ぐに倒せるんじゃが。〉

「此れは、アース・スパイダーって言うの!」

名前とか、どっちでも良いから!


ヨハンじいさん、牽制連続射撃をして!

〈任せておけ!〉


《バシュ!バシュ!バシュ!》


「もっと的に当てなさいよ!」

〈煩いの~小娘!儂だって頑張って当ててるつもりなんじゃ!〉


{アース・スパイダーがヨハン爺の攻撃でひるんだ時に、

 レオンからの会心の一撃が放たれる!}


此れで倒れろ!

《バッシュ!》


〈どうじゃ?倒したか?〉

「動かないわね?」


念の為に、もう何発か射るよ!

《バッシュ!.....ガッシャ!.....シャッコ!......バッシュ!》


〈ふぅ~倒せたな!中々の大きさだったわい。〉

「そうね!怪我も無くて良かったわ。」


ヨハン爺さん!魔力溜まりはどっちなの?

〈こっちじゃ!先が暗いの、松明を出してくれんか?〉

「松明よ!落とさないでよね。」


{アンジェがけた松明をヨハン爺さんが受けとって先に進みだした。}


〈土蜘蛛が多いな!もう何匹目じゃ?〉

んっ.....今ので5匹目じゃなかった?


「ね~私のアイテム袋に、アース・スパイダー入れるの

          止めてくれないかな?袋が汚れるわ。」


後衛のアンジェの仕事じゃないか!文句言わないの。

〈文句言うのなら、前衛と変われば良かろう?〉


「解ったわよ!私が倒した敵を回収すれば良いんでしょ!

             女の子に回収させるとか.....ブツブツ」


ブツブツ言わない!それぞれ役割をこなしてるんだからね!

〈そうじゃぞ小娘!どこぞのお姫様じゃるまいし

   少しはままを言うのをひかえよ。〉


「我が儘じゃないわよ!生理的に嫌なだけよ!」

それを我が儘と言うんだよ!


「みんな嫌いよ~!蟲なんって気持悪いのよ。」

気持は解るけどさ~我慢してよ!


〈魔力が強くなったぞ!2人とも気を付けるんじゃぞ。〉

《うん》



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